国民的アイドル

考察:乃木坂スター誕生!LIVE (昼・夜公演)2022/6/26

1.全体の感想

正直そこまで期待していなかったのだが、「ここでしか見られないもの」が詰まった満足感たっぷりたっぷりなライブだった
特に夜公演は現地で見ていたのだが、生で見てよかったな強く思うライブだった
今回は番組企画ということで考察要素少なめではあるが、昼夜公演通じて気になったポイントを振り返っていきたい

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
昼夜公演とも第一部で『乃木坂スター誕生!』内でカバーした人気曲(一部ライブで初披露の曲もあり)、第二部で乃木坂の曲をパフォーマンスする構成だった

第二部は基本的に普通のミニライブなので特筆すべきは第一部だろう
番組で人気のあった曲はほぼ入っていたのではないか
少なくとも僕はどうしても見たかった『恋愛レボリューション21』『ラムのラブソング』『空の泣きまね』『心の旅』が見られたので大満足です
(特に『心の旅』はオリジナルソングの『空の泣きまね』のほうが優先されるかなと思っていたので、まさか聴けるとは思わなかった)

3.振り返りポイント

①歌にフォーカスが当たったライブ

このライブの一番の特徴は「個々の歌にフォーカスがあたっていたこと」だと思う
歌番組から飛び出した企画なので当たり前ではあるのだが、今まであまりなかった形式なので全体ライブでは目立ちにくいパフォーマンス面の才能が見られたのが良かったと思う
個人的にすごいなと思ったのは

  • 遠藤・賀喜・金川・清宮・田村・林・松尾・弓木(・松陰寺さん)の『恋愛レボリューション21』。番組の時から思っていたけど、こんなに景気よいパフォーマンスができるなんて。
  • ゆりちゃんの儚いのに、芯がある歌声。『心の旅』『守ってあげたい』など特に心に響いた。
  • 弓木の『CRAZY GONNA CRAZY』『EZ DO DANCE』は曲を完全に自分のものにしてて、ぶちあがった。
  • 何よりも林の『プレイバックpart2』『どうにもとまらない』は鳥肌ものだった。歌も踊りの個々のスキルはもちろん、目で殺す感じとか全体の表現力のレベルが高い。「この子が乃木坂のセンターです」と言われても何ら違和感がないレベル。しかも『どうにもとまらない』は代打で急遽仕上げたという。末恐ろしい。

②先輩メンバー~積み重ねてきた年数

一部1~3期生の先輩メンバーが参加していたが、圧巻の貫禄だった

  • パワフルな声量とダンスがあまりにも仕上がっていたりりあとスーパーたまちゃんず(阪口珠美・佐藤楓・吉田綾乃クリスティー)の『世界で一番熱い夏』『ツイてるねノッてるね』
  • 説明不要。息を吞むほど美しい久保ちゃんの『I’m proud』『Everything』
  • (これはパフォーマンス力ではないかもしれないが、)「まなはまだ16だから」のネタを全力でやりきる真夏さん
  • あの山本リンダ様の横に立っても食われないひなちま『狙い撃ち』

正直普段のライブではそこまで目立たないと思っているが、やはり今回のような個々のパフォーマンスにフォーカスを当てたライブでは経験の差が如実に出るなと思った
こうやって努力してきた子たちが報われる環境があるといいな

③スペシャルゲストの素晴らしさ~生で見た山本リンダ・DJ KOO

ただその先輩ゲストを上回る印象を残していったのが、スペシャルゲストたちだった
特に生で見た山本リンダ・DJ KOOはあまりにも別格だった

とても70オーバーとは思えないパワフルなパフォーマンスの山本リンダ
あまりにも景気が良すぎて本当にこの世はこの人のためにあるのではと思うほどだった

DJ KOOについてはあまりにフロアの盛り上げ方がすごすぎて、乃木坂ファンばかりなのに今日イチ盛り上がってた
正直今までDJって何のためにいるんだろうと思っていたけど、本物は違うわ

ちょうど昼を配信・夜を現地で見たので強く思ったが、スペシャルゲストに限らずとにかく生で見る価値が高いライブだった
現地の盛り上がりがエグくて、下手するとパフォーマンスだけなら乃木坂ライブの中でも過去イチの満足感かもしれない
今回の歌にフォーカスを当てたライブは生で見ることを強くお勧めする
特に5期生スター誕生でも似たライブがあったら絶対に現地で申し込もう
(こう考えると『恋愛レボリューション21』も生で見たかった…昼公演申し込み忘れた自分を殴りたい)

④考察:乃木坂46の楽曲の価値について

かなり感想よりなのでここで軽い考察を一つ
本物の歌手の人たちは改めてすげえよと思ったのだが、アイドルの歌の価値とは何なのだろうか?

一般的にぱっと思いつくのはキャッチーで明るくなれるというものだろう
しかしこと乃木坂については今回のスペシャルゲスト並みに盛り上げられる曲は良くて『ガールズルール』くらいではないか
他には歌詞がよいというのが考えられる
しかし主観と推測の域を出ないが、歌詞の深さだけで言えばもっと良い曲は世の中にあるのではないか

個人的には乃木坂の曲の価値はそれ以外のところ、積み重ねてきたストーリーにあるのだと今日のライブを見て改めて思った
様々なライブでの出会いや別れを経て、グループの代表曲に進化した『きっかけ』や二期生のストーリーが色濃く感じられる『アナスターシャ』『ゆっくりと咲く花』が代表例だろう
ぼくたちは楽曲の裏側に彼女たちの歴史を見ているのだろう
(余談だがストーリーとして曲を売るのが難しくなるので、多少歌がうまいくらいだとアイドルのセカンドキャリア歌手ってのはかなり難しいだろうな…)
こう見ると改めて乃木坂はカルトコンテンツだな…
ちなみに乃木坂=カルトコンテンツ論は下記の記事に詳しいので良かったら是非
考察:乃木坂46は国民的アイドルなのか~楽曲とメンバー構成から考える

またそれ以外にも優しい世界観を醸し出す(例えば『今、話したい誰かがいる』や『僕は僕を好きになる』)などある気がする
詳細までは詰められていないので、いつか考え抜けたら別記事としてまとめたい

⑤4期生の物語の始まり

またメタ的にとらえると、このライブは4期生の物語の始まりだと思う
今まで4期生は特に物語や個性がなくてもフレッシュさで押し切れたし、4期生単独ライブや各種4期生番組である程度プッシュしてもらうことができた

しかしこれからは違う
5期生というさらにフレッシュな後輩が入ってきて、4期生の冠番組はなくなってしまった
4期生全体ライブだって減っていくだろう
つまり売り出し期間が終わり、自分たちで物語を積み重ねていくべき時期に入ったのだ

そういう意味ではさらば青春の光のお二人が映像で登場したり、ぺこぱのお二人がMCとして見守るなど新たな船出を見守っているように見えた
4期生がどのようなグループとなっていくのか、これから一層目が離せない

⑥早川聖来について

基本最高なライブであったが、唯一彼女がいないことが残念ではあった
ただ詳細まではつかめないものの、かなり大変そうなので今はゆっくり休んでほしい

しかし乃木坂は彼女を待ってくれるグループであってほしい
まあ彼女が出演予定であった『どうにもとまらない』で彼女のうちわをメンバーが持っていたり、『猫舌カモミールティー』でまゆたんがたこ焼きポーズするなど愛に溢れたグループなのできっと大丈夫だと願って

2022/2/23 10th Anniversary 乃木坂46時間TV スペシャルライブ

0.はじめに

皆さん、46時間プラスアフターパーティーお疲れ様でした!
ライブが衝撃すぎて消化するのに時間がかかりましたが、一晩明けて記事にまとめたいと思い筆をとっています
ライブを今回最優先でまとめますが、残りは後日書こうと思うのでよかったらそちらも読んでやってください
ちなみに現在のところ人狼考察電視台考察(その他雑談含む)を予定しています

また今回取り上げる内容は大いに荒れる可能性があるものだと思います
具体的には以下のような批判が考えられます

・グループの方向性に文句を言うな、嫌なら黙ってオタ卒しろ
・新しい取り組みを否定するな停滞につながる

先に弁解しておくが、本記事に文句・否定の意図はない
是非を述べる意見書ではなく、グループの変化の方向性を予想するエンターテイメントとして本記事は捉えていただきたい

ただし私が46時間テレビ以前に予想、もっというならば期待していた方向性から大きく外れる可能性が高いなと思っているのは事実である
それでも本当に方向性が大きく変わるのか、または変わったところで悪い方向に向かうかはまだ誰にも分からない

1.全体の感想

『Actually…』とにかく衝撃的で、それまでの45時間がすべて吹っ飛ぶレベルだった
乃木坂史上最大といってもいいほどの黒船が来たように思う
以下、ポイントを絞って振り返っていきたい

2.セットリスト

全体として王道展開だったからこそ、最後の『Actually…』の異物感が非常に際立った

M00  Overture
M01  他人のそら似
M02  おいでシャンプー

MC①(全体)

M03 キスの手裏剣
M04 三番目の風
M05 走れ!Bicycle

MC②(梅ちゃん、飛鳥、真夏さん、あやてぃー、レイちゃん、かっきー)

M06 日常
M07 口ほどにもないKISS
M08 僕は僕を好きになる
M09 ごめんねFingers crossed
M10 Sing Out!

MC③

M11 Actually…
MC④
M12 乃木坂の詩

3.振り返りポイント

①M10までの王道セットリスト

M10までは10周年らしいセットリストだった
いかにも乃木坂らしい世界観の選抜曲、ゴリゴリのダンスナンバー『日常』・一周まわって可愛らしい『口ほどにもないKISS』などバラエティにとんだアンダー曲、各世代の若き日を思い出させるような期別楽曲と王道ど真ん中な構成だった
まさかこのセットリストがこのあとのフリになっているとは…

②『Actually…』~乃木坂史上最大の問題作

乃木坂シングル史上最大の問題作
センターのアルノちゃんがクローズアップされるような構成となっており、ほかメンバーがバックダンサーのように見えた
曲調も今までの乃木坂にはない、攻撃的な感じ
存在感があるアルノちゃんにこの曲をやらせたいのはわからんではないが、それにしても異質
この前までのセットリストがザ・王道だったから、なおさら異物感が際立った

この曲を聴いたとき本能的に「乃木坂が壊れるかもしれない」という危機感を感じた
Twitterでも「乃木坂らしさ」というワードがトレンド入りするほどだったので、私だけの反応ではないと思う

以前から新世代のメンバーをセンターに迎え入れる文化が乃木坂にはあったが、これほどまでの異彩を放つことはなかった
『逃げ水』のよだももや『夜明けまで強がらなくてもいい』のさくちゃんは支えてあげたい乃木坂らしいキャラクターだったから違和感なかった
唯一『バレッタ』の堀ちゃんは多少の異物感があったが、ここまでセンター一人を際立たせる構成にはなっていなかった
それだけに今回のアルノちゃん(本人のキャラはまだわからないけど、『Actually…』の象徴としての彼女)は今までの乃木坂のイメージを完全に覆すための刺客にすら見えた

私は乃木坂はコアファンからの人気を得ており、似たようなメンバーをとることで持続していくコンテンツだと思っていた
(上記の詳細は『考察:乃木坂46は国民的アイドルなのか~楽曲とメンバー構成から考える』の記事をぜひ参照いただきたい)
それだけにイメージを根底から覆しにいく『Actually…』は私の予想と完全に真逆で、衝撃的だった

ではこのシングルで表現したように見えたものとは何か
一言でいうと「欅坂46感」だったように思う(あえて「櫻坂」ではなく「欅坂」と記載する)
いかつい曲調と歌詞、センターを中心にクローズアップするフォーメーションダンスにアルノちゃんの表現力が平手友梨奈と被るところがありこのように見えたのだろう
(あらためて平手友梨奈と比較されるとかアルノちゃんすげえな…)
Twitterでも「平手友梨奈」というワードがトレンド入りするほどだったので、こちらも決して私だけの反応ではないと思う
そして先述の通り「乃木坂らしさ」が議論されるなど、一部(というより私には大半に見えるが)ファンが望んでいた方向性とはかなり離れたものとなっているのではないかと思う

③なぜ乃木坂を壊す必要があったのか~仮説を立てて考える

ここでよりマクロな視点に立ち「なぜ乃木坂を壊す必要があったのか」をいくつか仮説をたてて考えていきたい
どれか一つだけが正しいのではなく、いくつかが混ざり合っているのではないかと思う

1.中西アルノへの惚れ込み
よく言われることだが、大なり小なりあると思う
アルノちゃん魅力的だしね
ただそれでも「本当にそれだけか?」とも思う
例えばアルノちゃんが2期生や3期生加入の時期に入ってきたとして、同じことが行われただろうか?
まいやんやななみん、なぁちゃんほか1期生が多くいるときにそんな売り出し方をするのは想像しにくいように思う

2.欅坂の亡霊を追っている
ネットでよく見る論調ではあるが、単にそれだけならば櫻坂でやる方が自然ではないだろうか?
乃木坂で行うべき必然性がこれだけだと見いだせない

3.国民的アイドルを目指すため
比較的合理的な理由として、「乃木坂が最も近いが、現在の乃木坂では成し遂げえないものを達成するため」という理由が考えられる
そのうちの一つが、先ほど紹介した記事でも考えた「国民的アイドル」という概念である

しかしこれはおそらくないと思う
上記記事では楽曲という要素についても考察しているが、少なくとも国民的アイドルが持ち合わせるようなキャッチーさが『Actually…』からは感じられない
(というより比較される「欅坂46」についても基本は別路線のカルトコンテンツだと認識している。このアイドル史観は別途考察記事としてまとめたい。)

もうひとつ国民的アイドルの持つ要素として「メンバー構成の多様化」を挙げているが、こればかりは5期生のキャラクターがわからないので何とも言えない
強いて言えば井上和ちゃんとかは、今までの乃木坂にいないタイプの見た目だなとは思

4.海外進出の可能性
「乃木坂が最も近いが、現在の乃木坂では成し遂げえないもの」でもう一つ思いついたのがこれである
古くはAKB48、乃木坂も2017年ごろに目指していたが成功したとは言いがたいのが海外進出である

こちらの記事をはじめ一般に良く言われることだが、海外で売れるためにはパフォーマンスがハイレベルであることが求められる
定量的評価は難しいが、言語が通じないためパフォーマンスで分かりやすく魅せる必要があるというのは妥当だろう

一方で乃木坂の武器を振り返るとパフォーマンスというのは決してレベルが高いとは言えないらしい
(私はパフォーマンスに無頓着なので、一般にそういわれるよね程度しか実感はない)
さらに秋元系アイドル(特に乃木坂)が得意とする、ハイコンテクストな文脈が生み出す感動は言語が違う消費者がそこまでたどり着くのは難しいように思う

しかし今からパフォーマンスのレベルを上げるにしても、韓国アイドルとキレキレダンスでバチバチに戦うのは難しい
そこで世界の市場の空白を突くための武器が、欅坂で行われていたようなフォーメーションダンスだったのではないか

しかし「なぜ櫻坂ではなく乃木坂で海外進出を狙うのか」という疑問がそれでも残る
その回答については「日本のNo.1アイドル」という箔が必要だったのではないかと推測する
本当にこの予想が正しければ運営はかつての欅坂と同じ方法でテコ入れしていくだろう
その場合似たコンセプトの櫻坂46が見捨てられたような形となるのだが…

5.割とうまくいってたけど、単に乃木坂を運営するのに飽きた
1~4それぞれ考えてきたが、実は一番の主因ってこんなところなのではないだろうか
現在の乃木坂は似たようなメンバーを入れて、一部の熱狂的なファン層が離れずに応援し続けるいわば「完成されたコンテンツ」になっていると思う
よく言えば「手がかからない」が、運営する立場からすれば「面白くない」とも見えるかと思う

そこに明らかな異分子がいたから試しにぶつけてみようといった感じなのではないか
(こちらのベストアルバム特典映像考察の記事でも記載しているが、トライ&エラーは乃木坂でも行われたいわばよくある手法である)
かなり雑だなとは思うが、『バレッタ』のときのような化学反応に期待したい
またその時とは違ってバランサーとなる余裕がある1・2期がいるのもどう作用するのだろうか
29枚目はひたすら過激な方に振ったが、多少なじんでくるであろう30枚目以降どのような変化が起きるのか引き続き見ていきたい

④中西アルノについて

冒頭にも述べた通り、私は今回の記事で何かを否定したり文句を言う意図はない
特にアルノちゃんには何らマイナスな感情がないことは重ねて申し上げたい

そもそも『Actually…』だけの印象でアルノちゃんのことを語るのはややナンセンスだと思う
実は私は5期生お見立て会に現地参戦していたのだが、お見送りに当たったメンバーがアルノちゃんだったのである
事前映像でもかなりクールそうな印象だったが、お見送りの時に見せた人懐っこい笑顔はいい意味でずいぶんギャップがあった

こんな調子できっと我々がまだ見ていない側面が彼女にはたくさんあるのだろう
従って私は『Actually…』だけの印象で彼女を判断したくはない
乃木中とかに出てくるのも楽しみだな

4.少しだけ私見

ここからは完全に考察ではなく私見である
私のような考察マニアにとっては、久々に考察しがいのある骨太なテーマで本当にぞくぞくした
一方で乃木坂に共感しそのアイデンティティに惚れた私は、もしかすると乃木坂が完全に壊れてしまうのではないかという不安を持っていたりもする
いずれにせよまだ何もわからないというのが本音なので、引き続き注目していきたい

考察:乃木坂46は国民的アイドルなのか~楽曲とメンバー構成から考える

0.はじめに

今まで個々のライブ考察を行ってきたが、自分が乃木坂について考えていることを共有することでより分かりやすくなるのではないかと思った
そこで今後はライブに限らず、乃木坂に関するテーマを考察していく記事も書いていこうと思う
第一回は表題の通り、「乃木坂46は国民的アイドルなのか」というテーマを考察していきたい

1.序論~『乃木坂スター誕生!』最終回の衝撃

このテーマを考えた直接的きっかけは『乃木坂スター誕生!』最終回を見たことである
この回は「平成スーパーアイドルソングSP」と題して、AKB48やモーニング娘。の曲をカバーしていた
最後に歌っていた『恋愛レボリューション21』を見て、キラキラしててこれぞアイドルと思った
とても楽しい気分になると同時に、乃木坂の曲(特に世間の目に触れやすい表題曲)ではほとんど味わったことがない感覚だなと思った
そこで私は考えた
「乃木坂は国民的アイドルではないのではないか。より正確に言えば国民的アイドルを目指してもないのではないか。」と

2.前提~国民的アイドルとは

ここで前提共有のために国民的アイドルの定義を私がどのように考えているかを共有したい
下記の条件を満たすことが国民的アイドルと考えている
・オタクのみならず、一般層にメンバー&楽曲が支持されていること

3.本論~国民的アイドルの定義を当てはめると

上記を乃木坂に当てはめて考えてみたい
CD売り上げ・広告掲載数などの定量評価も考えたが外部要因(例えば握手会開催による売り上げの水増し)も大きく、どこまでが国民的アイドルなのかという線引きも難しいのでここでは定性的に考えることとする

①楽曲について

乃木坂のライトファン(表題曲をある程度知っており、選抜メンバーは顔と名前が一致するレベル)の友人に「乃木坂の代表曲を3曲あげて」と聞いてみた
『シンクロニシティ』『インフルエンサー』と挙がったが、その次が出てこないのである
体感であるが、それほど世間の意見と乖離していないように思う

ただこの結果はかなり示唆的であるように思う
つまり全国民が知っているような曲がほとんどないのである
ただそもそも全国民に受けるような曲を作る気があったのだろうか?

例えばモーニング娘。やAKB48で代表曲を3曲あげるなら、下記の通りかと思う
(若干異論はあるかもしれないが、大きく外してはいないはず)

  • モーニング娘。…『LOVEマシーン』『恋愛レボリューション21』『ザ☆ピ~ス!』
  • AKB48…『ヘビーローテーション』『ポニーテールとシュシュ』『恋するフォーチュンクッキー』

共通点としていえるのはかなりキャッチーでノリが良い曲かと思う
しかし乃木坂の表題曲でキャッチーなのは極端に少ないと思う
文句なしでキャッチーなのって『ガールズルール』『夏のFree&Easy』くらいではないか
キャッチーな曲をあまり表題曲として出していないことが、乃木坂の曲があまり世間的に認知されていない主な原因かと思う

また乃木坂工事中の中で「乃木坂ベストソング歌謡祭」というのがあった
ファンが投票形式で人気曲を選ぶ企画であったがこの結果もなかなか興味深い
1位 『サヨナラの意味』…奈々未さん卒業曲
2位 『きっかけ』…アルバム曲。東京ドーム公演をはじめ、数々のライブで感動的に演出。
単純な曲人気だけでなく、ハイコンテクストさがあるものが上位に来ている

一方でAKB48のリクエストアワーという人気曲投票ライブは、『ヘビーローテーション』が一位になるなど2010年代前半はかなり曲人気が先行していたように思う
(もしかすると最近はハイコンテクストな性格もあり…?)

まとめると乃木坂の人気曲は比較的ハイコンテクストなものが多く、前提知識がない人にはわかりにくいという点で国民的アイドルとは言い難いのではないかと思う
(もちろん文脈をわかっていればとても魅力的である)

②メンバー構成について

メンバー構成もかなり示唆的であるように思う
乃木坂のメンバーは良くも悪くも、似たような系統のメンバーが多いように感じる
清楚で、おとなしくて、ちょっと自分に自信がなくて…
もちろん個性がないわけではないが、上記はかなり多くのメンバーが持ち合わせる特徴だろう

対してAKB48は違った
黒髪清楚系からギャル系・気が強い子までいて、かなりメンバーが個性的であった
クラスで3番目に可愛い子を大量に寄せ集めただけと揶揄されることもあったが、逆に言えばにある程度可愛い子を200人集めたら誰か一人は好みに刺さる子がいるだろう

どちらが良いということはないが、目指す方向に違いがあるとは思う
AKB48はかなりメンバーごとに個性が異なるので、大抵好みのタイプが一人くらいはいてそのメンバーを応援することでファン層の拡大が見込めると思う
(余談だが、総選挙は個人を応援するという意味でとてもAKBの性質にマッチした企画だと思う)
一方、乃木坂は清楚でおとなしい子が刺さらない人には全く興味がわかないメンバー構成だと思う
しかしおとなしい子が協力し合って成長する優しい世界は統一感があり、ファンを魅了するのである
(体感だが乃木坂は箱推しが多いのも上記統一感が原因かと思う)

4.結論~乃木坂巨大カルトコンテンツ論

上記の通り乃木坂の楽曲・メンバー構成とも「より多くの人から人気を得ること」ではなく「ハマる人にとことんハマること」を目標に作られているように思える
仮に国民を3グループに分ける
①大ファン
②ライトファン(なんとなく好き程度)
③興味なし
このときに国民的アイドルは②を多くしようとするのに対し、乃木坂は②よりも①を増やすことを重視しているように見える
これは幅広い層から支持を得る国民的アイドル目指す戦略とはいいがたい

つまり一部の熱狂的なファンに支えられるカルトコンテンツという性質が強いのではないか
そのファンの人数が多いので、ぱっと見国民的アイドルに見える状況だったというのが正確なのではないか
このような巨大なカルトコンテンツはアイドルではあまり見たことがなかったが、『エヴァンゲリオン』や『水曜どうでしょう』あたりと共通する側面だと思う

逆に言えば刺さる人にはとことん刺さる戦略をとっているので、一定以上人気が落ちないのではないかと思っている
似たようなタイプのメンバーが多いので、箱推しが多くなり人気メンが卒業してもファン人気が落ちにくいのではないか
(余談だが、上記のために1期生が卒業してもライブチケットがなかなか当選しないのかなと思う…)
この世代交代論についてはかなり長くなりそうなのでまた稿を改めて書きたいと思う

最後に念を押しておくが、乃木坂が国民的アイドルではなく巨大カルトコンテンツということは決して悪いことではない
カルトコンテンツだからこそ、文脈依存でハイコンテクストな感動が生まれる
こちらの記事のように最近『他人のそら似』で痛く感動したが、歌詞も振りつけも乃木坂を知っているからこその感動だった
そもそもこのサイトのように考察ブログが立ち上がるのも、ハイコンテクストさ故だろう