2021年 12月 の投稿一覧

2021/12/15 乃木坂46 生田絵梨花卒業コンサートDay2

0.はじめに

その才能に、その努力の跡に、何よりその人柄に引き込まれた卒業ライブだった
あまりにも余韻が深く、きっとしばらくはその歌声をその横顔を探してしまうだろう
10年間も乃木坂にいてくれてありがとう
生田絵梨花がいた乃木坂のファンをできたことを誇りに思います

1.全体の感想

冒頭でも触れたが、いくちゃんクオリティをこれでもかと感じられるライブだった
構成についてはDay1と共通部分もあるので、良かったらDay1の考察記事もご確認ください
今回もポイントを絞って演出を振り返っていく

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
Day1は意外性が強かったのに対し、Day2は王道感があったと思う

3.振り返りポイント

①「気を抜かず精一杯努力したいと思います」

Day1同様ライブ冒頭の映像として、初期のいくちゃんインタビューシーンが流れた
このフレーズが印象的だったが、やはりこの精神を体現したライブであった

Day1のMCでも言われていたことであるが、セットリストも前日からガラッと変わった
卒コンを2日間とも配信までするの前代未聞だなあと最初は思っていたが、これは2日とも配信しないともったいないわ

また単純に2日間の曲数だけでも、最後まで気を抜かず精一杯努力し続けたことがヒシヒシと伝わった
この選択をしたいくちゃんには本当に感謝しかない

②圧倒的なパフォーマンス

曲のレパートリーももちろんすごいのだが、パフォーマンス自体も圧巻だった
中でも印象に残った曲を紹介したい

『やさしさとは』
オリメンがいくちゃんだけとなったこの曲は、なんといくちゃん1人で歌い上げた
歌唱力が素晴らしいのはもちろん、曲の世界に引き込まれるような圧巻の表現力はアイドルのレベルをゆうに超えていたように思う

『歳月の轍』
最後のソロ曲ということもあってか、弾き語りとは思えないほど歌に魂がこもっていた
真っ白なドレスや照明演出も相まって、曲の持つ儚さが存分に感じられた
生田絵梨花にしかできない、最高のパフォーマンスだった

③人柄

パフォーマンスだけでなく、その人柄にも魅了された
期生別楽曲冒頭で後輩への想いを語るいくちゃん、卒業したお姉さんたちの名前を叫ぶいくちゃん、1期生と泣き笑ういくちゃんを好きにならない人などいるのだろうか

その中でも一つポイントを上げるなら、『ここじゃないどこか』は良かった
初期から乃木坂を引っ張ってきたみなみちゃんとペアで歌ったこの曲は、涙なしには見られなかった
「きっと君なら大丈夫」
みなみちゃんに語りかけるように優しく歌い上げたこのフレーズは、苦楽を共にした2人だからこそ響く言葉だった

④ラストシーン~階段を上って光の中へ

いくちゃんが階段を上り光の中へ消えていくラストシーンは印象的で、久々に演出に感動した
乃木坂からステップアップして輝く未来を手に入れた、彼女らしい良いラストだと思う
なお卒業ライブの退場演出は結構メンバーによって個性が表れていて興味深いので、いつかまとめてみたい

2021/12/14 乃木坂46 生田絵梨花卒業コンサートDay1

1.全体の感想

「卒業ライブなのに頑張りすぎじゃないですか?」
真夏さんのこの一言に集約されたライブだと思う
卒業ライブなのにかなりチャレンジングな構成で、改めて生田絵梨花すげえと思った
以下、ポイントを絞って振り返っていきたい

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
普段あまり歌われない曲もあり、意外性があるセットリストに感じた

3.振り返りポイント

① 「みんなで歌ったり踊ったりすることが好きです」

ライブ冒頭の映像として、いくちゃんが乃木坂オーディションの面接を受けているシーンが流れた
自己PR内のこのフレーズが印象的だったが、まさにその精神を体現したライブだったと思う

まずとにかくいくちゃん出突っ張りだった
アンダーコーナー以外全ての楽曲いたんじゃないかな?
相当ハードだとは思うが、ファンとしてはめちゃくちゃ嬉しい

それどころか新しいチャレンジまで演出に盛り込んでいた
「私も、混ざりたい」と言って2〜4期の期別楽曲に参加したことをはじめ、『他の星から』とかもいくちゃんほとんどパフォーマンスしたことないんじゃないかな
特に『三番目の風』の間奏で3期生それぞれと11通りのペアダンスやってたのは圧巻
卒業に向けて忙しい人ができることなのかと尊敬の念を抱かずにはいられない

ほかにも表題曲でダンス中心の『命は美しい』『インフルエンサー』などにリベンジなど見応え十分だった
努力家なのは言うまでもないが、本当に踊ったり歌ったりすることが好きな人だからこんな盛り沢山な構成になるのだろう

②生田絵梨花と乃木坂らしさ

「私は乃木坂らしいと言っていただけることが多い」とMC内で語っていたが、個人的には今まで対極のように感じていた
乃木坂ってどちらかと言うと自信がなさそうな子が多いと思うのだが、いくちゃんは常に堂々と自信を持ってパフォーマンスしているように見えるからだ
今日も『歳月の轍』の歌詞多分間違えてるんだけど、堂々としすぎててアドリブで歌詞変えたのかと一瞬思ったくらい…笑

そんな彼女はアンコールのMCで自分はビビリで、周りの人に甘えて支えられてここに立てていると語っていた
こちらの福岡公演の記事にある通り乃木坂は「内気な女の子が仲間を得て強くなる」というストーリーだと思うのだが、最後の「強くなる」が極まったのが生田絵梨花なのかもしれない
謙虚さと強さを兼ね備えた彼女も乃木坂らしさの象徴の一人なのだろう

③2日間の卒業コンサート

最近は卒業メンバーが多いからかライブ終盤のみ卒業セレモニーとすることが多かったので、2日間がっつり卒業コンサートやるのは結構驚いた(もちろんとても嬉しい)

しかし今日のライブを見てたらかなり納得した
卒業ライブで新しいことにチャレンジしたり、こんなモチベーション高くて謙虚な子がいたらそりゃ「この子のために卒コン開こう」と思うよね

やはり生田絵梨花はすごい

④その他感想

以下は考察ではない雑感である

歌に詳しくはないが、いくちゃんの歌ってやっぱりすごいよね
もちろんほかにも上手い子はいるんだけど、歌に喜怒哀楽が乗っているというか表現力はかなり抜けている気がする

あとオーディションのときから「趣味:模写」とか言ってたのね…
いろんな意味で不世出の規格外アイドル、生田絵梨花の最後を明日見届けたいと思う

考察:乃木坂46は国民的アイドルなのか~楽曲とメンバー構成から考える

0.はじめに

今まで個々のライブ考察を行ってきたが、自分が乃木坂について考えていることを共有することでより分かりやすくなるのではないかと思った
そこで今後はライブに限らず、乃木坂に関するテーマを考察していく記事も書いていこうと思う
第一回は表題の通り、「乃木坂46は国民的アイドルなのか」というテーマを考察していきたい

1.序論~『乃木坂スター誕生!』最終回の衝撃

このテーマを考えた直接的きっかけは『乃木坂スター誕生!』最終回を見たことである
この回は「平成スーパーアイドルソングSP」と題して、AKB48やモーニング娘。の曲をカバーしていた
最後に歌っていた『恋愛レボリューション21』を見て、キラキラしててこれぞアイドルと思った
とても楽しい気分になると同時に、乃木坂の曲(特に世間の目に触れやすい表題曲)ではほとんど味わったことがない感覚だなと思った
そこで私は考えた
「乃木坂は国民的アイドルではないのではないか。より正確に言えば国民的アイドルを目指してもないのではないか。」と

2.前提~国民的アイドルとは

ここで前提共有のために国民的アイドルの定義を私がどのように考えているかを共有したい
下記の条件を満たすことが国民的アイドルと考えている
・オタクのみならず、一般層にメンバー&楽曲が支持されていること

3.本論~国民的アイドルの定義を当てはめると

上記を乃木坂に当てはめて考えてみたい
CD売り上げ・広告掲載数などの定量評価も考えたが外部要因(例えば握手会開催による売り上げの水増し)も大きく、どこまでが国民的アイドルなのかという線引きも難しいのでここでは定性的に考えることとする

①楽曲について

乃木坂のライトファン(表題曲をある程度知っており、選抜メンバーは顔と名前が一致するレベル)の友人に「乃木坂の代表曲を3曲あげて」と聞いてみた
『シンクロニシティ』『インフルエンサー』と挙がったが、その次が出てこないのである
体感であるが、それほど世間の意見と乖離していないように思う

ただこの結果はかなり示唆的であるように思う
つまり全国民が知っているような曲がほとんどないのである
ただそもそも全国民に受けるような曲を作る気があったのだろうか?

例えばモーニング娘。やAKB48で代表曲を3曲あげるなら、下記の通りかと思う
(若干異論はあるかもしれないが、大きく外してはいないはず)

  • モーニング娘。…『LOVEマシーン』『恋愛レボリューション21』『ザ☆ピ~ス!』
  • AKB48…『ヘビーローテーション』『ポニーテールとシュシュ』『恋するフォーチュンクッキー』

共通点としていえるのはかなりキャッチーでノリが良い曲かと思う
しかし乃木坂の表題曲でキャッチーなのは極端に少ないと思う
文句なしでキャッチーなのって『ガールズルール』『夏のFree&Easy』くらいではないか
キャッチーな曲をあまり表題曲として出していないことが、乃木坂の曲があまり世間的に認知されていない主な原因かと思う

また乃木坂工事中の中で「乃木坂ベストソング歌謡祭」というのがあった
ファンが投票形式で人気曲を選ぶ企画であったがこの結果もなかなか興味深い
1位 『サヨナラの意味』…奈々未さん卒業曲
2位 『きっかけ』…アルバム曲。東京ドーム公演をはじめ、数々のライブで感動的に演出。
単純な曲人気だけでなく、ハイコンテクストさがあるものが上位に来ている

一方でAKB48のリクエストアワーという人気曲投票ライブは、『ヘビーローテーション』が一位になるなど2010年代前半はかなり曲人気が先行していたように思う
(もしかすると最近はハイコンテクストな性格もあり…?)

まとめると乃木坂の人気曲は比較的ハイコンテクストなものが多く、前提知識がない人にはわかりにくいという点で国民的アイドルとは言い難いのではないかと思う
(もちろん文脈をわかっていればとても魅力的である)

②メンバー構成について

メンバー構成もかなり示唆的であるように思う
乃木坂のメンバーは良くも悪くも、似たような系統のメンバーが多いように感じる
清楚で、おとなしくて、ちょっと自分に自信がなくて…
もちろん個性がないわけではないが、上記はかなり多くのメンバーが持ち合わせる特徴だろう

対してAKB48は違った
黒髪清楚系からギャル系・気が強い子までいて、かなりメンバーが個性的であった
クラスで3番目に可愛い子を大量に寄せ集めただけと揶揄されることもあったが、逆に言えばにある程度可愛い子を200人集めたら誰か一人は好みに刺さる子がいるだろう

どちらが良いということはないが、目指す方向に違いがあるとは思う
AKB48はかなりメンバーごとに個性が異なるので、大抵好みのタイプが一人くらいはいてそのメンバーを応援することでファン層の拡大が見込めると思う
(余談だが、総選挙は個人を応援するという意味でとてもAKBの性質にマッチした企画だと思う)
一方、乃木坂は清楚でおとなしい子が刺さらない人には全く興味がわかないメンバー構成だと思う
しかしおとなしい子が協力し合って成長する優しい世界は統一感があり、ファンを魅了するのである
(体感だが乃木坂は箱推しが多いのも上記統一感が原因かと思う)

4.結論~乃木坂巨大カルトコンテンツ論

上記の通り乃木坂の楽曲・メンバー構成とも「より多くの人から人気を得ること」ではなく「ハマる人にとことんハマること」を目標に作られているように思える
仮に国民を3グループに分ける
①大ファン
②ライトファン(なんとなく好き程度)
③興味なし
このときに国民的アイドルは②を多くしようとするのに対し、乃木坂は②よりも①を増やすことを重視しているように見える
これは幅広い層から支持を得る国民的アイドル目指す戦略とはいいがたい

つまり一部の熱狂的なファンに支えられるカルトコンテンツという性質が強いのではないか
そのファンの人数が多いので、ぱっと見国民的アイドルに見える状況だったというのが正確なのではないか
このような巨大なカルトコンテンツはアイドルではあまり見たことがなかったが、『エヴァンゲリオン』や『水曜どうでしょう』あたりと共通する側面だと思う

逆に言えば刺さる人にはとことん刺さる戦略をとっているので、一定以上人気が落ちないのではないかと思っている
似たようなタイプのメンバーが多いので、箱推しが多くなり人気メンが卒業してもファン人気が落ちにくいのではないか
(余談だが、上記のために1期生が卒業してもライブチケットがなかなか当選しないのかなと思う…)
この世代交代論についてはかなり長くなりそうなのでまた稿を改めて書きたいと思う

最後に念を押しておくが、乃木坂が国民的アイドルではなく巨大カルトコンテンツということは決して悪いことではない
カルトコンテンツだからこそ、文脈依存でハイコンテクストな感動が生まれる
こちらの記事のように最近『他人のそら似』で痛く感動したが、歌詞も振りつけも乃木坂を知っているからこその感動だった
そもそもこのサイトのように考察ブログが立ち上がるのも、ハイコンテクストさ故だろう