2022年 8月 の投稿一覧

考察:乃木坂46 真夏の全国ツアー(全ツ)東京神宮球場公演Day2 2022/8/30

0.はじめに

全国ツアー神宮初日、推しがTwitterトレンド入りした
ワクワクしながら内容を確認すると、転落・救急車と見慣れない文字が並ぶ…
一瞬にして意識が遠のく

普段ライブの考察でいろいろ言ったりしているが、そもそもライブで推しが躍動していること自体がいかに幸せかを実感した
そしてどうか沙耶香ちゃんが無事活動復帰できますように

1.全体の感想

地方公演に引き続き、正統派な夏のツアーという印象を受けたライブだった
考察要素は少ないが、久々の神宮は本記事冒頭の一件以外はやはり良かった
以下ではいつものようにポイントを絞って振り返っていきたい

また今回は地方公演との比較も交えつつ考察していく
そのため良かったら地方公演の広島公演の記事もご覧ください
(他公演はチケット確保できず…)
考察:乃木坂46 真夏の全国ツアー(全ツ)広島公演Day1 2022/7/23

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
神宮だから、という演出はなく正統派のツアーセトリだったと思う

3.振り返りポイント

選抜・アンダーの融合

広島公演の時点では気がつかなかったが、選抜・アンダー間の融合が今回のツアーの特色となっていたと思う

今日の内容で言うと山下が『涙がまだ悲しみだった頃』、さくちゃんが『マシンガンレイン』のセンターをするなどかなりレアなものが見えたと思う
またこれは選抜がアンダー曲のセンターをやるという一方的なものではなく、広島公演では葉月センターの『スカイダイビング』などその逆もあった

特にアンダー曲は選抜メンバーがセンターを務めることに抵抗がある人も多そうなので賛否両論ありそうだとは思った
個人的には曲とメンバーもコンテクストを無視すればあっていたし、レア感もあってありなのではと考えている

②公式ブログとのリンク

地方公演から引き続き公式ブログとリンクした演出があった
すでに広島公演の記事に細かく記載しているので割愛するが、良演出であった

③期別コーナーの新設と各期のカラー

地方公演ではなかった期別コーナーが新設されていた
ここについて少し掘り下げていきたい

地方公演から1・2期で披露された『君の名は希望』の中で、今年のツアーは3期以下の各メンバーの魅力を少しでもわかってもらえればという趣旨の発言があった
普通に考えればこの発言の後に期別コーナーと進むと思うのだが、期別コーナー→『君の名は希望』という順序でセトリが進行していった
これは考えすぎかもしれないが、地方公演を経て『君の名は希望』の枕詞なしに3~5期がどこまで魅力を出すことができるようになったかの答え合わせなのではないか

そしてこの期別コーナーはかなり各期の色が出ていて魅力的だった
まずは5期生だがパフォーマンスにもフレッシュ感があふれ、これからどうなっていくのかが楽しみである

4期生はフレッシュさ推しだったので5期生が入ってきてどうなるのかと思っていたが、「キャッチーさ」「わちゃわちゃ感」「(言ってしまえば)カオス」という個性を身につけつつあると思う
今回は披露されなかったが『I see…』『Out of the blue』と表題曲にしても良いくらいのキャッチーな曲を立て続けにもらったからか、かなりこの手のパフォーマンスが得意になったように見える
それが遺憾なく発揮された新曲『ジャンピングジョーカーフラッシュ』はかなりインパクトがあった
この勢いで引き続き突っ走ってほしい

3期生には絶対的な頼もしさを感じた
『僕の衝動』での圧倒的なパフォーマンスと顔芸(?)の迫力と、『僕が手を叩く方へ』の暖かく会場を包み上げるような一体感の演出はさすがの一言
(余談だが、『僕が手を叩く方へ』のクラップの会場の一体感は感涙ものであった。これはこれで表題曲としてもよかったくらいの出来。)
僕たちが好きになったあの頃の「乃木坂らしさ」をいまだに感じられるのは、彼女たちのおかげなのだろう

1・2期生のパフォーマンスはもうとにかくエモさに溢れている
『海流の島よ』の披露は想像していなかったけど、1期生年少メンバーはアンダーからのスタートが多くあの子たちがここまで立派になったのかと思うと感慨深いしそこに昔のメンバーの姿を重ねるとは…
ひなちまやまあやがいる今しかできない、とてもよい演出だったと思う

考察:日向坂46 ドキュメンタリー映画第2弾 『希望と絶望~その涙を誰も知らない』

0.はじめに

普段は乃木坂のライブ演出考察を専門としている本サイトであるが、まれにアイドルドキュメンタリーの考察も行っている
今回は現在公開されている、日向坂のドキュメンタリー『希望と絶望』を見たので考察していきたい

なお筆者は日向坂の冠番組は見ているものの乃木坂と比べて熱量を持って追っかけているわけではない
そのためやや乃木坂びいきになってしまう部分や、考察が至らない部分があるかもしれないです
大変申し訳ないですがご容赦頂ければ幸いです
ただ他グループファンから見た考察も意味があるものだと思うので、本ブログに記していきたい
また考察内容には乃木坂にも通じる部分もあったので、乃木坂ファンの方も是非見て行っていただきたい

1.ドキュメンタリーの既視感~日向坂のストーリーを考察する

今回のドキュメンタリーを見て一番最初に感じた印象は「既視感があるな」といったものだった
どこで見たかといえば、乃木坂のドキュメンタリーやライブの間で挟まれる映像で見たものだった

『希望と絶望』で描かれたテーマは大雑把にいえば、「コロナ時代のアイドルの苦悩とファンとの絆」というところに集約されると思う
ただこのテーマは他のアイドルを題材にしても表現できるものだし、実際前述の通り乃木坂でもかなり表現されてきている
描き方としては『希望と絶望』はかなり感情移入できるようになっていたが、必ずしも日向坂が伝えるべきテーマかというと疑問が残る
それでもあえてこのテーマを取り上げたのは、言ってしまえばこのテーマしか取り上げようがないというのが実情ではないか
それは日向坂46のストーリーに起因すると思う

日向坂の今までのストーリーを大雑把にまとめると、「ひらがなけやきという不遇の時代を過ごした少女たちが、腐らず努力して一流アイドルになる」というところになると思う
判官贔屓な傾向があるといわれる日本人にはとても好かれるストーリーだと思う
しかしこの手の自らを「弱者」と定義するストーリーには限界がある
グループが人気になるにつれて自分たちのことを「不遇」「弱者」と自称できなくなるため、いつまでもこのストーリーを使うことはできない
先日『約束の卵』でもうたわれた東京ドーム公演を成功させた日向坂は、上記ストーリーの大団円を迎えてしまったように思う
もはや「弱者」でなくなってしまった日向坂はそれに代わるストーリーを現段階では生み出せていないため、今回の映画では他のアイドルでも取り組めるテーマを取り上げることとなったのではないか

2.日向坂人気を考察する~他の坂道シリーズとのストーリー比較から

では他の坂道シリーズではどのようなストーリーがあったのかも考えていきたい
まずは乃木坂46の場合だが、最初は「AKB48の公式ライバル」を自称していたように自分たちを「弱者」としたストーリーを展開していた
しかし乃木坂はいつからかこのストーリーをぱたりとやめて、「引っ込み思案な女の子が仲間を得て強くなる」というストーリーにシフトしたように思う
(体感だが2013年ごろからシフトをはじめ、西野七瀬センター時代に確立されたように思う)
このストーリーは自分たちが「弱者」でなくなっても使える普遍的なストーリーのため、今でも脈々と受け継がれているように思う
そしてこのストーリーに魅せられた私は、推しメンが卒業しようが乃木坂から離れられない
おそらくほかにもそういった方がいらっしゃるのではないか
この醸成させてきたストーリーこそが、乃木坂の唯一無二の強みだと思う

一方欅坂46は最初から「弱者」のストーリーをとらなかったように思う
それは『サイレントマジョリティー』によって「社会・大人への反抗」「フォーメーションダンス」という明確なストーリーやストロングポイントを手に入れたので、「弱者」のストーリーを取り入れる必要がなかったからであるように見える
このストーリーは大成功し、解散後の今多くのファンがなおこのストーリーに魅せられつづけるという意味で欅坂は伝説になったのだろう
(ただし、このストーリーに縛られて各メンバーが苦しんだようにも見えるので一長一短ではあるのかもしれない…)
そして櫻坂はこのストーリーから良くも悪くも解放されて、新しいスタイルを模索しているところにみえる

さて今回の本題の日向坂だが、乃木坂/欅坂とはかなり様子が異なる
日向坂のストーリーは前述の通りいわゆる「弱者のストーリー」で、ストロングポイントも「明るく前向き」というかなりアイドルにとって一般的なものにみえる
(きっと日向坂ファンにとっては紡いできた歴史があるので単なる「弱者のストーリー」にまとめられるのは抵抗があるとは思う。後述するが私も乃木坂2期生が好きなので、気持ちはわかる。しかし乃木坂/欅坂の方が外から見た時にグループのカラーやストーリーが分かりやすいというのは言えるんじゃないかな。)
つまりおそらくは日向坂人気はグループのストーリーというシステム面でなく、メンバーの魅力という点に依存度合いが高いのだろう
特に大ヒットした曲があるわけでもないのにメンバー個々人の力だけでここまで人気が出たというのは、純粋にすごいと思う
ただ現メンバーが卒業した時のことを考えると、しっかりしたストーリーがないとあっけなくファン離れを起こすんじゃないかな…
ここ1・2年が日向坂にとっては特に勝負の年となるのだろう

3.日向坂46と欅坂46について

また日向坂46も忘れがちだが欅坂46の遺伝子を受け継いだグループなのである
その欅坂のDNAが案外色濃く残っている印象を映画から受けた

富士急ライブや『君しか勝たん』チアなど、パフォーマンスの全力感を求めてメンバー・スタッフ一丸となっているところが映画でも節々に現れていた
このパフォーマンスへのこだわりは、魅せ方こそかなり異なるが欅坂の映画で感じたものにとても似ていた

ただ下記の記事でかなり詳しく展開しているが、パフォーマンス重視というのはかなり危うさを孕む特性である
(乃木坂はどうやらこの記事で考察した方向性にはいかなそうだが…)
考察:『Actually…』なぜ乃木坂史上最大の問題作なのか

現在のところ日向坂はパフォーマンス重視したとて仲間を切り捨てる方向には走らないように見えるが、その分グループ活動へのコミットが求められかなりハードに見える
(実際、加藤史帆がフラフラになっている様子が映画でも描かれていた)

ここは同じ坂道シリーズでも、乃木坂とはかなり文化が異なるように見える
乃木坂はアンダーメンバー中心にグループとは離れた活動(舞台など)に多くリソースを割くメンバーがいるが、そういった生存戦略は日向坂だと難しいんじゃないかな
パフォーマンスレベルと外仕事はトレードオフの関係になることも多そうなので、その辺は一長一短だね…
(どちらも両立した生田絵梨花という超人はいるが、あの人の体力は化け物なのであまり参考にはならない気がする…)

4.乃木坂46と弱者のストーリーについて

最後にこのサイトは乃木坂46考察サイトなので、先ほどからキーワードとなっている「弱者のストーリー」と乃木坂46の関係に触れたい
乃木坂46全体としては前述の通り「弱者のストーリー」からうまいこと転換していったが、たまに「弱者のストーリー」が顔をのぞかせる節がある

一つめに思い浮かんだのが乃木坂2期生である
よく言われている「不遇の2期」という言葉に表されるように、2期生全体のストーリーとしてはどうしても「弱者のストーリー」として表現されがちだ
ただ2期生ファンとしては、彼女たちを一言で「弱者のストーリー」とまとめるのはかなり抵抗がある
伊藤純奈が舞台女王となり、伊藤かりんが将棋を極め、新内眞衣が有楽町の女となり、そして山崎怜奈はクイズに歴史にラジオにと坂道外仕事マスターになった
ここまで個性的な才能開花は「弱者のストーリー」範疇にとどまらないようのではないかとすら思う
(とはいえ思い出補正が強いので、外から見たら「弱者のストーリー」にみえるのかな…)

二つ目はアンダーライブである
こちらはわかりやすく選抜制構造に立脚した「弱者のストーリー」をとっているが、かなり中身は移り変わっている
従来は選抜に入りたいという各メンバーの思いから、かなり熱気あふれるライブをしていた
しかし選抜・アンダー間の流動性がなくなってアンダー→選抜の門戸が狭まり、選抜入りを目指すストーリーはやや無理が生じた
そこで29thシングルアンダーライブのアンダーライブを東京ドームでやりたいという発言に顕著だったが、アンダーライブ自体を大きくするという方向に舵を切った
乃木坂46 29thSG アンダーライブDay3考察 2022/3/27
発言自体はとても心震えたのだが、冷静になるともしアンダーライブin東京ドーム構想が叶ってしまったらそのあとはどうなるのだろう…?
アンダーライブが「弱者のストーリー」の限界を突破できることを切に願う

三つ目だが乃木坂全体でも最近ファン離れへの危機感なのか、「弱者のストーリー」への回帰の兆しが見られるのではないか
以下の真夏の全国ツアー広島公演の記事に詳しく記載している
考察:乃木坂46 真夏の全国ツアー(全ツ)広島公演Day1 2022/7/23
個人的には乃木坂はもうがっつり特徴があるグループのなので今更弱者のストーリーへの回帰の必要性を感じないのだが…
今後どのような展開がありうるのか、引き続き注視していきたい