1.全体の感想

「もっと強いグループになります!」
梅の最後のMCでの言葉だったが、今年の神宮はかなり乃木坂の強さを感じたライブだった
そして3・4・5期体制の集大成なのだろうなと思う

今回はポイントを絞って考察していきたい
同時に3・4・5期体制についても改めて振り返っていく

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
Day1とDay2は地方公演のセトリをほぼなぞったのに対し、Day3はユニットが歌唱力特化ブロックになっていた
ちなみに地方公演の考察は以下の記事を参考にしてください
・考察:乃木坂46 真夏の全国ツアー(全ツ)大阪公演Day1・2 2024/7/20-7/21

3.振り返りポイント

①祝・3期生8周年!

全く本筋の考察ではないのだが、まずは3期生8周年おめでとう!

この体制を中心となって引っ張ってきてくれた3期生の結成日に現体制の集大成となる今日のライブがきたのは、彼女たちへのささやかなご褒美のような気がして少し嬉しかった
改めてだけど『3番目の風』はモンスターだった1期生がいなくなったあとの乃木坂を全員で力を合わせながら引っ張ってきた彼女たちのことをよく表しているいい曲よね
(偶然にも本日は神宮の風がめちゃくちゃ心地よかった…)

②新生・乃木坂46の強さ

冒頭でも触れたが、今日のライブは乃木坂の強さが前面に出ていたように思う
これが彼女たちが作り上げた新生乃木坂46の真骨頂なのだろう

ツアーを通してだが、彼女たちのパフォーマンスからは自信や風格を感じた
千秋楽には『設定温度』~『絶望の一秒前』あたりの歌唱力ブロックが設けられたり、ダンス選抜が『Wilderness world』を披露したりかなり以前と比べパフォーマンスで魅せられるようになり実力がついたことが影響しているのではないか

この「強さ」は1期生が中心だったころの乃木坂にも感じたことなかったので、彼女たちは自分たちのスタイルを確立したのだと確信した
これこそが私がこのライブを3・4・5期体制の集大成と位置付けた理由である

振り返ってみると、作為不作為様々な要因が折り重なって強さが生まれたように思う
いくつかピックアップして考察してみるが、まず5期生の存在は大きかったように思う
もともと芸能活動していたメンバーも多く、かつ『新・乃木坂スター誕生!』をいきなり任されたことでボイトレなどをみっちり仕込まれてパフォーマンス力がぐっと上がったと思う
そのあたりの考察は下記の考察記事に譲る
・考察:5期生はじめての単独ライブはなぜ「新・乃木坂スター誕生!LIVE」だったのか

次にライブ演出家が変わったことも個人的には大きいと思う
前任者はどちらかというとVTRでライブにメッセージ性を与えることに長けていたように思う
変更後はVTRが減った代わりにパフォーマンスにスポットライトを当てることぐっと多くなった
ここに彼女たちのパフォーマンス向上が加わり、強い印象を与えるようになった

最後に1期生がいなくなったことは大きいと思う
今まで引っ張ってきてくれた先輩がいなくなり、3・4期は後輩のままでいられなくなり新たな道を模索せざるを得なくなった
彼女たちが導いてきてくれたのが、現在の乃木坂なのだろう

こうして振り返るとここ数年の彼女たちが作り上げたものの結晶が、今日のライブだったように思う
新たな色の乃木坂46を作り上げた彼女たちに改めて経緯を表したい

③乃木坂らしさと強さについて

ところで従来の「乃木坂らしさ」と本日彼女たちがみせた強さはかなり相容れない概念だと思う

以前から乃木坂らしさについて考察してきたが、1期生が作り上げた「乃木坂らしさ」は一言でいうと「内気な女の子が仲間を得て強くなる」ストーリーだと思っている
大前提に「弱さ」というものがあり、自己肯定感の低さなどがライブVTRでもしばしば語られていたように思う

一方で今日彼女たちが見せたのは強さからくる自信すら見えた
(もちろん不安はあるのだろうが、やってきたことに対する自信は少なくとも見えたように思う)
この様子を見ていると自己肯定感の低さというものはきっとストーリーから切り離されたのだと思う

この変化の評価は非常に難しい
自己肯定感の低さというテーマはかなり普遍的だし、現在もきっとこのテーマがドハマりするファン層はいると思う
こういった層から見ると今の乃木坂は物足りなく見えるのだろう
一方で今の乃木坂の強さこそが好きな人もきっといる
ただ一つ言えるのは従来の乃木坂と現在の乃木坂は明らかに質が違うということは言えるのだろう

個人的にはかつての乃木坂らしさは自己肯定感の件にも相まってややカルトコンテンツめいた性格を持っていたと思っていて、1期生がいたころより国民的アイドル的な要素が強いと考える
今回の考察に興味を持ってもらえた人はぜひ以下の記事についても読んでいただきたい
・考察:乃木坂46は国民的アイドルなのか~楽曲とメンバー構成から考える

④井上和と『誰かの肩』と青春の終わり

ここからは感想まじり、かつ私の中でもまとまり切っていない内容となる

2年連続でツアーの座長を任されているところからも明らかなように、新生乃木坂の象徴は井上和なのだろう
一目で目を引くスター性は歴代の中でも群を抜いていると思う

そんな彼女へのおそらく宛て書きが『誰かの肩』なのだろう
昨年の全国ツアーから披露されていたこの曲だが、今年は本編ラストに披露されるなどかなり重きを置かれている印象がある
強くあろうとする中で弱い部分を仲間と分かち合い、助け合う世界観は素敵だと思う

一方で先ほどの新生乃木坂のストーリーにも通じるが、この曲は「強さ」を前提にしていてそのなかにある「弱さ」の共有を目指しているように思う
これがハマる人はもちろんいるのだろうが、強さを前提にする価値観は共感のハードルが個人的には結構高い気がする…
かくいう私一昔前の乃木坂から入ったこともあり、いまだにこの世界観をいまいち理解しきれないのだ
(もちろん昔はよかった、ということを言いたいのでは全くない)

ただ実際現メンバーにはかなりしっくりきていそうだし、やはりこの部分を汲み取り切れないのは私が年をとり感性が鈍ったということなのだろうか…
神宮に散った花火が私の青春の終わりを告げている気がした