考察:『ないものねだり』なぜ乃木坂46橋本奈々未はファンの心に残り続けるのか

    0.はじめに

    秋元康の詩集『こんなに美しい月の夜を君は知らない』の出版を記念して、歌詞解説募集キャンペーンなるものが行われていた
    私も応募してみたが、このサイトでも避け続けているように歌詞の考察は苦手である…

    しかし下記の『Actually…』の記事のように曲をメタ的な目線でみて、考察を行うことは割とできると思う
    ・考察:『Actually…』なぜ乃木坂史上最大の問題作なのか
    今回はキャンペーンの対象曲でもあった『ないものねだり』を題材に、なぜこの曲がファンにとって特別な曲であり続けるのか、ひいてはなぜ私たちの心に橋本奈々未さんがなぜ心に残り続けるのかを考察していきたい

    1.序論~卒業ソロ曲としての『ないものねだり』の異質性

    乃木坂には卒業にあたってソロ曲をもらうメンバーが多くいるが、やはり別れを真正面から取り上げた曲が多い
    その中で異質なのが橋本奈々未さんが歌う『ないものねだり』である
    表題曲の『サヨナラの意味』が真正面からの卒業ソングだったこともあるのか、テーマ設定が一見卒業と何ら関係がないように見える
    しかしわたしはある種この『ないものねだり』こそが、最もアイドルからの卒業を感じされた曲ではないかと思う

    2.本論~『ないものがたり』の世界観について

    『ないものがたり』の世界観を一言でいうと、「足るを知る」という価値観に尽きるように思う
    そしてこの価値観が主人公の中でどんどん大きくなっている様子が見て取れる
    なお歌詞についてはこちらのサイトでご確認いただきたい

    まず冒頭の描写からすでにアイドルソングとしてはかなり違和感がある
    冷たい外界と暖かいベッドという対比があるなら、通常のアイドル曲なら外に打って出るだろう

    そしてサビの部分でこの行動は気まぐれではなく、主人公の信念に基づくものだというのが明かされる
    この信念は、アイドルのキラキラした上昇志向や成長願望とはかなり異なるものだろう

    これらのアイドルらしくない世界観は現実世界ともリンクする
    弟の学費を賄うため、弁当がもらえるからなどといった理由でアイドル界に紛れ込んだ橋本奈々未さんが歌うととてもリアルなのである
    そして歌詞の最後で眠りにつく夜(「私」の世界)だけでなく、昼(「公」の世界)でもアイドルらしくない世界観を持ち始めた様子が描かれている
    これは橋本奈々未さんによるアイドルへの決別宣言ととらえられるのではないか
    ここまで大胆で強烈なアイドル卒業ソングは後にも先にもないだろう

    3.結論~なぜ橋本奈々未さんは伝説になったか

    このアイドル・ななみんを強烈に奪われた印象が、ファンの中にある種のトラウマとなって『ないものがたり』が忘れえぬ曲となったのだろう
    そして『ないものねだり』に限らずこの強烈に奪われる感覚、これこそが橋本奈々未さんを伝説としているのだと思う

    私は橋本さんの卒コンラストでも同じ感覚を味わっている
    握手会等で会うこともできたななみんが、緑色のペンライトの海の上方にゆっくりと消えていったとき「この人は神になって、もう二度と会うことはできないんだな」とすら感じた
    (この演出考察については、かなり昔のライブにはなるがいずれ見返して記事にしたい)

    本人のもう二度と芸能界に戻ってこなさそうな発言に、曲や演出も手伝って強烈にななみんを奪われた感覚がある
    どのメンバー卒業時よりも強いトラウマ・喪失感を与えたことこそが、橋本奈々未さんを伝説とした一因なのではないか

    SNSでもご購読できます。

    コメントを残す

    *