橋本奈々未

考察:5th YEAR BIRTHDAY LIVE Day1(橋本奈々未卒業コンサート) 2017/2/20

1.はじめに

「帰った後も網膜にこびりつくようなライブにしたい」
ライブ冒頭で橋本さんが意気込みを聞かれたときに宣言した内容である
この意気込みは十二分に達成され、帰った後どころか6年近くたった現在でも脳裏に焼き付いて離れない伝説のライブとなった

過去ライブ振り返りの第二回となる今回は、乃木坂の伝説・橋本奈々未卒業コンサートについて考察したい
個人的にも当時現地で見ており、乃木坂のライブ演出考察にハマるきっかけとなった思い入れ深いライブである
今回もリアルタイムでないので臨場感はないが、その分時間が経ったからこそわかることも盛り込めればと思う

なお本ブログは性質上ネタバレが多く含まれてしまうが、今回ばかりは見ていない人がいればのぎ動画で一度見てからこちらの記事に戻ってきていただくことを強く推奨する
6年も前のことなので気にする必要がないと言えばそれまでかもしれないが、あまりにも印象的すぎる名演出があるので一発目は私の拙い語彙ではなく映像で味わっていただきたいからである
そのうえで感動を共有するために本ブログに戻ってきていただけるとありがたい
(むしろこのライブを見るためだけにのぎ動画に契約する価値すらある。見放題に入れてるのはあまりにも太っ腹すぎる…。)

2.セットリスト

こちらのサイトのDay1のセットリストをご参照ください
バスラらしく乃木坂の歴史を振り返りつつ、橋本さんとメンバーの関係を垣間見ることができる構成だったと思う
またこの年から全曲発表順披露ではなくなったが、歴史を振り返るという意味では濃密かつ趣旨に沿っており、こちらの方が個人的には気に入っている

3.振り返りポイント

神セットリスト

ラストを除いて特別感ある演出はなかったように思うが、神セットリストというものがあるのであれば今回のセットリストが限りなく近いものだと思う

表題曲・カップリング曲・アンダー曲織り交ぜながら乃木坂の歴史を振り返るというバスラの趣旨も守りつつ、VTRやユニット中心に橋本さんをフィーチャーするバランス感がとても良かった
さらにずっと選抜だった橋本さんがアンダー曲『生まれたままで』に参加したり、御三家(白石麻衣・橋本奈々未・松村沙友理)が『Threefold choice』を披露するなど意外性がありつつも確実にファンのツボを押さえたセンスも素晴らしい
本編後半にはライブ定番曲を多く入れ、橋本さん卒業を忘れるくらい一体となって盛り上がる…

これこそが理想のライブセットリストなのではないかとすら思う

②橋本奈々未の魅力とは〜2023年から振り返る

クールで、格好よく、大人で、孤高の存在…
引退から5年以上の月日がたち、神格化されてしまった橋本さんの印象はこんなところだろうか

しかし久しぶりに当時の橋本さんの映像を見てみると、思ったより普通の女の子という印象を強く持った
割と緊張していたのかマイクを持つ手が震えていたり、ラストのスピーチで緊張からか詰まる部分も多かったりしたのが意外だった
なんなら先日以下記事でまとめた生駒ちゃんの卒コン時の方が良く喋れていたように思う…
・考察:乃木坂46 生駒里奈卒業コンサート 2018/4/22

しかしうまくできないことがあろうと、やはり橋本奈々未は格好良かった
泣き崩れるまいやんの方を抱いて、自らは気丈に振る舞うその姿にノックアウトされた
涙をあふれさせても、最後まで『ないものねだり』を歌いきるその姿に生き様を感じた
彼女は強い存在ではなかったかもしれないが、強くあろうと努めるその姿に僕らは惚れたのだろう

③『ないものねだり』~異質な卒業ソング

以前から考察していたことではあるが、やはり卒業ソングを横に並べた時『ないものねだり』の異質性は際立つ
卒業を直接扱わないが別れを感じさせるこの曲は、卒コンで歌うと深くて重すぎる…

詳細は以前独立して取り扱った以下の記事にまとめているので、良かったら読んでやってください
・考察:『ないものねだり』なぜ乃木坂46橋本奈々未はファンの心に残り続けるのか

④そして彼女は神になった

冒頭で触れた印象的すぎる演出、それは言うまでもなくラストシーンである
橋本奈々未の姿が、その声が、6年間脳裏に焼き付いて離れずある種トラウマ状態にすらある
(もちろん忘れたいわけないので、「いい意味で」ではある)

アンコールラストで披露された『サヨナラの意味』、これはもはや橋本奈々未を神にする儀式だったといっても過言ではない
ステージ上で踊るメンバーを残して、客席上をトロッコ的な何かに乗って飛び回って手をいっぱいに振っていた
それはまるで天界に帰る女神が翼を広げて飛び回りながら、民衆との別れを惜しむような美しい姿だった

そしてラスサビをセンターステージで踊り、メンバー一人ひとりとの別れの挨拶をした後、なんと彼女はゴンドラに乗って天井に消えたのだ!
私にはその姿が天界に帰っていく女神にしか見えなかった
ゴンドラに乗った彼女が微笑みながら最後に言った言葉は「みなさん、さようなら」
もう戻ってこないことを告げるその言葉はシンプルながら、二度と忘れられないトラウマとなった

こうして彼女は簡単に触れることはできない神となったのだ
あまりにも美しく、あまりにも残酷で、二度と忘れることができない最強の演出だと思う

考察:『ないものねだり』なぜ乃木坂46橋本奈々未はファンの心に残り続けるのか

0.はじめに

秋元康の詩集『こんなに美しい月の夜を君は知らない』の出版を記念して、歌詞解説募集キャンペーンなるものが行われていた
私も応募してみたが、このサイトでも避け続けているように歌詞の考察は苦手である…

しかし下記の『Actually…』の記事のように曲をメタ的な目線でみて、考察を行うことは割とできると思う
・考察:『Actually…』なぜ乃木坂史上最大の問題作なのか
今回はキャンペーンの対象曲でもあった『ないものねだり』を題材に、なぜこの曲がファンにとって特別な曲であり続けるのか、ひいてはなぜ私たちの心に橋本奈々未さんがなぜ心に残り続けるのかを考察していきたい

1.序論~卒業ソロ曲としての『ないものねだり』の異質性

乃木坂には卒業にあたってソロ曲をもらうメンバーが多くいるが、やはり別れを真正面から取り上げた曲が多い
その中で異質なのが橋本奈々未さんが歌う『ないものねだり』である
表題曲の『サヨナラの意味』が真正面からの卒業ソングだったこともあるのか、テーマ設定が一見卒業と何ら関係がないように見える
しかしわたしはある種この『ないものねだり』こそが、最もアイドルからの卒業を感じされた曲ではないかと思う

2.本論~『ないものがたり』の世界観について

『ないものがたり』の世界観を一言でいうと、「足るを知る」という価値観に尽きるように思う
そしてこの価値観が主人公の中でどんどん大きくなっている様子が見て取れる
なお歌詞についてはこちらのサイトでご確認いただきたい

まず冒頭の描写からすでにアイドルソングとしてはかなり違和感がある
冷たい外界と暖かいベッドという対比があるなら、通常のアイドル曲なら外に打って出るだろう

そしてサビの部分でこの行動は気まぐれではなく、主人公の信念に基づくものだというのが明かされる
この信念は、アイドルのキラキラした上昇志向や成長願望とはかなり異なるものだろう

これらのアイドルらしくない世界観は現実世界ともリンクする
弟の学費を賄うため、弁当がもらえるからなどといった理由でアイドル界に紛れ込んだ橋本奈々未さんが歌うととてもリアルなのである
そして歌詞の最後で眠りにつく夜(「私」の世界)だけでなく、昼(「公」の世界)でもアイドルらしくない世界観を持ち始めた様子が描かれている
これは橋本奈々未さんによるアイドルへの決別宣言ととらえられるのではないか
ここまで大胆で強烈なアイドル卒業ソングは後にも先にもないだろう

3.結論~なぜ橋本奈々未さんは伝説になったか

このアイドル・ななみんを強烈に奪われた印象が、ファンの中にある種のトラウマとなって『ないものがたり』が忘れえぬ曲となったのだろう
そして『ないものねだり』に限らずこの強烈に奪われる感覚、これこそが橋本奈々未さんを伝説としているのだと思う

私は橋本さんの卒コンラストでも同じ感覚を味わっている
握手会等で会うこともできたななみんが、緑色のペンライトの海の上方にゆっくりと消えていったとき「この人は神になって、もう二度と会うことはできないんだな」とすら感じた
(この演出考察については、かなり昔のライブにはなるがいずれ見返して記事にしたい)

本人のもう二度と芸能界に戻ってこなさそうな発言に、曲や演出も手伝って強烈にななみんを奪われた感覚がある
どのメンバー卒業時よりも強いトラウマ・喪失感を与えたことこそが、橋本奈々未さんを伝説とした一因なのではないか