考察:乃木坂46 真夏の全国ツアー(全ツ)東京神宮球場公演Day2 2022/8/30

0.はじめに

全国ツアー神宮初日、推しがTwitterトレンド入りした
ワクワクしながら内容を確認すると、転落・救急車と見慣れない文字が並ぶ…
一瞬にして意識が遠のく

普段ライブの考察でいろいろ言ったりしているが、そもそもライブで推しが躍動していること自体がいかに幸せかを実感した
そしてどうか沙耶香ちゃんが無事活動復帰できますように

1.全体の感想

地方公演に引き続き、正統派な夏のツアーという印象を受けたライブだった
考察要素は少ないが、久々の神宮は本記事冒頭の一件以外はやはり良かった
以下ではいつものようにポイントを絞って振り返っていきたい

また今回は地方公演との比較も交えつつ考察していく
そのため良かったら地方公演の広島公演の記事もご覧ください
(他公演はチケット確保できず…)
考察:乃木坂46 真夏の全国ツアー(全ツ)広島公演Day1 2022/7/23

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
神宮だから、という演出はなく正統派のツアーセトリだったと思う

3.振り返りポイント

選抜・アンダーの融合

広島公演の時点では気がつかなかったが、選抜・アンダー間の融合が今回のツアーの特色となっていたと思う

今日の内容で言うと山下が『涙がまだ悲しみだった頃』、さくちゃんが『マシンガンレイン』のセンターをするなどかなりレアなものが見えたと思う
またこれは選抜がアンダー曲のセンターをやるという一方的なものではなく、広島公演では葉月センターの『スカイダイビング』などその逆もあった

特にアンダー曲は選抜メンバーがセンターを務めることに抵抗がある人も多そうなので賛否両論ありそうだとは思った
個人的には曲とメンバーもコンテクストを無視すればあっていたし、レア感もあってありなのではと考えている

②公式ブログとのリンク

地方公演から引き続き公式ブログとリンクした演出があった
すでに広島公演の記事に細かく記載しているので割愛するが、良演出であった

③期別コーナーの新設と各期のカラー

地方公演ではなかった期別コーナーが新設されていた
ここについて少し掘り下げていきたい

地方公演から1・2期で披露された『君の名は希望』の中で、今年のツアーは3期以下の各メンバーの魅力を少しでもわかってもらえればという趣旨の発言があった
普通に考えればこの発言の後に期別コーナーと進むと思うのだが、期別コーナー→『君の名は希望』という順序でセトリが進行していった
これは考えすぎかもしれないが、地方公演を経て『君の名は希望』の枕詞なしに3~5期がどこまで魅力を出すことができるようになったかの答え合わせなのではないか

そしてこの期別コーナーはかなり各期の色が出ていて魅力的だった
まずは5期生だがパフォーマンスにもフレッシュ感があふれ、これからどうなっていくのかが楽しみである

4期生はフレッシュさ推しだったので5期生が入ってきてどうなるのかと思っていたが、「キャッチーさ」「わちゃわちゃ感」「(言ってしまえば)カオス」という個性を身につけつつあると思う
今回は披露されなかったが『I see…』『Out of the blue』と表題曲にしても良いくらいのキャッチーな曲を立て続けにもらったからか、かなりこの手のパフォーマンスが得意になったように見える
それが遺憾なく発揮された新曲『ジャンピングジョーカーフラッシュ』はかなりインパクトがあった
この勢いで引き続き突っ走ってほしい

3期生には絶対的な頼もしさを感じた
『僕の衝動』での圧倒的なパフォーマンスと顔芸(?)の迫力と、『僕が手を叩く方へ』の暖かく会場を包み上げるような一体感の演出はさすがの一言
(余談だが、『僕が手を叩く方へ』のクラップの会場の一体感は感涙ものであった。これはこれで表題曲としてもよかったくらいの出来。)
僕たちが好きになったあの頃の「乃木坂らしさ」をいまだに感じられるのは、彼女たちのおかげなのだろう

1・2期生のパフォーマンスはもうとにかくエモさに溢れている
『海流の島よ』の披露は想像していなかったけど、1期生年少メンバーはアンダーからのスタートが多くあの子たちがここまで立派になったのかと思うと感慨深いしそこに昔のメンバーの姿を重ねるとは…
ひなちまやまあやがいる今しかできない、とてもよい演出だったと思う

考察:日向坂46 ドキュメンタリー映画第2弾 『希望と絶望~その涙を誰も知らない』

0.はじめに

普段は乃木坂のライブ演出考察を専門としている本サイトであるが、まれにアイドルドキュメンタリーの考察も行っている
今回は現在公開されている、日向坂のドキュメンタリー『希望と絶望』を見たので考察していきたい

なお筆者は日向坂の冠番組は見ているものの乃木坂と比べて熱量を持って追っかけているわけではない
そのためやや乃木坂びいきになってしまう部分や、考察が至らない部分があるかもしれないです
大変申し訳ないですがご容赦頂ければ幸いです
ただ他グループファンから見た考察も意味があるものだと思うので、本ブログに記していきたい
また考察内容には乃木坂にも通じる部分もあったので、乃木坂ファンの方も是非見て行っていただきたい

1.ドキュメンタリーの既視感~日向坂のストーリーを考察する

今回のドキュメンタリーを見て一番最初に感じた印象は「既視感があるな」といったものだった
どこで見たかといえば、乃木坂のドキュメンタリーやライブの間で挟まれる映像で見たものだった

『希望と絶望』で描かれたテーマは大雑把にいえば、「コロナ時代のアイドルの苦悩とファンとの絆」というところに集約されると思う
ただこのテーマは他のアイドルを題材にしても表現できるものだし、実際前述の通り乃木坂でもかなり表現されてきている
描き方としては『希望と絶望』はかなり感情移入できるようになっていたが、必ずしも日向坂が伝えるべきテーマかというと疑問が残る
それでもあえてこのテーマを取り上げたのは、言ってしまえばこのテーマしか取り上げようがないというのが実情ではないか
それは日向坂46のストーリーに起因すると思う

日向坂の今までのストーリーを大雑把にまとめると、「ひらがなけやきという不遇の時代を過ごした少女たちが、腐らず努力して一流アイドルになる」というところになると思う
判官贔屓な傾向があるといわれる日本人にはとても好かれるストーリーだと思う
しかしこの手の自らを「弱者」と定義するストーリーには限界がある
グループが人気になるにつれて自分たちのことを「不遇」「弱者」と自称できなくなるため、いつまでもこのストーリーを使うことはできない
先日『約束の卵』でもうたわれた東京ドーム公演を成功させた日向坂は、上記ストーリーの大団円を迎えてしまったように思う
もはや「弱者」でなくなってしまった日向坂はそれに代わるストーリーを現段階では生み出せていないため、今回の映画では他のアイドルでも取り組めるテーマを取り上げることとなったのではないか

2.日向坂人気を考察する~他の坂道シリーズとのストーリー比較から

では他の坂道シリーズではどのようなストーリーがあったのかも考えていきたい
まずは乃木坂46の場合だが、最初は「AKB48の公式ライバル」を自称していたように自分たちを「弱者」としたストーリーを展開していた
しかし乃木坂はいつからかこのストーリーをぱたりとやめて、「引っ込み思案な女の子が仲間を得て強くなる」というストーリーにシフトしたように思う
(体感だが2013年ごろからシフトをはじめ、西野七瀬センター時代に確立されたように思う)
このストーリーは自分たちが「弱者」でなくなっても使える普遍的なストーリーのため、今でも脈々と受け継がれているように思う
そしてこのストーリーに魅せられた私は、推しメンが卒業しようが乃木坂から離れられない
おそらくほかにもそういった方がいらっしゃるのではないか
この醸成させてきたストーリーこそが、乃木坂の唯一無二の強みだと思う

一方欅坂46は最初から「弱者」のストーリーをとらなかったように思う
それは『サイレントマジョリティー』によって「社会・大人への反抗」「フォーメーションダンス」という明確なストーリーやストロングポイントを手に入れたので、「弱者」のストーリーを取り入れる必要がなかったからであるように見える
このストーリーは大成功し、解散後の今多くのファンがなおこのストーリーに魅せられつづけるという意味で欅坂は伝説になったのだろう
(ただし、このストーリーに縛られて各メンバーが苦しんだようにも見えるので一長一短ではあるのかもしれない…)
そして櫻坂はこのストーリーから良くも悪くも解放されて、新しいスタイルを模索しているところにみえる

さて今回の本題の日向坂だが、乃木坂/欅坂とはかなり様子が異なる
日向坂のストーリーは前述の通りいわゆる「弱者のストーリー」で、ストロングポイントも「明るく前向き」というかなりアイドルにとって一般的なものにみえる
(きっと日向坂ファンにとっては紡いできた歴史があるので単なる「弱者のストーリー」にまとめられるのは抵抗があるとは思う。後述するが私も乃木坂2期生が好きなので、気持ちはわかる。しかし乃木坂/欅坂の方が外から見た時にグループのカラーやストーリーが分かりやすいというのは言えるんじゃないかな。)
つまりおそらくは日向坂人気はグループのストーリーというシステム面でなく、メンバーの魅力という点に依存度合いが高いのだろう
特に大ヒットした曲があるわけでもないのにメンバー個々人の力だけでここまで人気が出たというのは、純粋にすごいと思う
ただ現メンバーが卒業した時のことを考えると、しっかりしたストーリーがないとあっけなくファン離れを起こすんじゃないかな…
ここ1・2年が日向坂にとっては特に勝負の年となるのだろう

3.日向坂46と欅坂46について

また日向坂46も忘れがちだが欅坂46の遺伝子を受け継いだグループなのである
その欅坂のDNAが案外色濃く残っている印象を映画から受けた

富士急ライブや『君しか勝たん』チアなど、パフォーマンスの全力感を求めてメンバー・スタッフ一丸となっているところが映画でも節々に現れていた
このパフォーマンスへのこだわりは、魅せ方こそかなり異なるが欅坂の映画で感じたものにとても似ていた

ただ下記の記事でかなり詳しく展開しているが、パフォーマンス重視というのはかなり危うさを孕む特性である
(乃木坂はどうやらこの記事で考察した方向性にはいかなそうだが…)
考察:『Actually…』なぜ乃木坂史上最大の問題作なのか

現在のところ日向坂はパフォーマンス重視したとて仲間を切り捨てる方向には走らないように見えるが、その分グループ活動へのコミットが求められかなりハードに見える
(実際、加藤史帆がフラフラになっている様子が映画でも描かれていた)

ここは同じ坂道シリーズでも、乃木坂とはかなり文化が異なるように見える
乃木坂はアンダーメンバー中心にグループとは離れた活動(舞台など)に多くリソースを割くメンバーがいるが、そういった生存戦略は日向坂だと難しいんじゃないかな
パフォーマンスレベルと外仕事はトレードオフの関係になることも多そうなので、その辺は一長一短だね…
(どちらも両立した生田絵梨花という超人はいるが、あの人の体力は化け物なのであまり参考にはならない気がする…)

4.乃木坂46と弱者のストーリーについて

最後にこのサイトは乃木坂46考察サイトなので、先ほどからキーワードとなっている「弱者のストーリー」と乃木坂46の関係に触れたい
乃木坂46全体としては前述の通り「弱者のストーリー」からうまいこと転換していったが、たまに「弱者のストーリー」が顔をのぞかせる節がある

一つめに思い浮かんだのが乃木坂2期生である
よく言われている「不遇の2期」という言葉に表されるように、2期生全体のストーリーとしてはどうしても「弱者のストーリー」として表現されがちだ
ただ2期生ファンとしては、彼女たちを一言で「弱者のストーリー」とまとめるのはかなり抵抗がある
伊藤純奈が舞台女王となり、伊藤かりんが将棋を極め、新内眞衣が有楽町の女となり、そして山崎怜奈はクイズに歴史にラジオにと坂道外仕事マスターになった
ここまで個性的な才能開花は「弱者のストーリー」範疇にとどまらないようのではないかとすら思う
(とはいえ思い出補正が強いので、外から見たら「弱者のストーリー」にみえるのかな…)

二つ目はアンダーライブである
こちらはわかりやすく選抜制構造に立脚した「弱者のストーリー」をとっているが、かなり中身は移り変わっている
従来は選抜に入りたいという各メンバーの思いから、かなり熱気あふれるライブをしていた
しかし選抜・アンダー間の流動性がなくなってアンダー→選抜の門戸が狭まり、選抜入りを目指すストーリーはやや無理が生じた
そこで29thシングルアンダーライブのアンダーライブを東京ドームでやりたいという発言に顕著だったが、アンダーライブ自体を大きくするという方向に舵を切った
乃木坂46 29thSG アンダーライブDay3考察 2022/3/27
発言自体はとても心震えたのだが、冷静になるともしアンダーライブin東京ドーム構想が叶ってしまったらそのあとはどうなるのだろう…?
アンダーライブが「弱者のストーリー」の限界を突破できることを切に願う

三つ目だが乃木坂全体でも最近ファン離れへの危機感なのか、「弱者のストーリー」への回帰の兆しが見られるのではないか
以下の真夏の全国ツアー広島公演の記事に詳しく記載している
考察:乃木坂46 真夏の全国ツアー(全ツ)広島公演Day1 2022/7/23
個人的には乃木坂はもうがっつり特徴があるグループのなので今更弱者のストーリーへの回帰の必要性を感じないのだが…
今後どのような展開がありうるのか、引き続き注視していきたい

考察:乃木坂46 真夏の全国ツアー(全ツ)広島公演Day1 2022/7/23

1.全体の感想

正統派な夏のツアーという印象を受けたライブだった
全ツの地方公演ということもあり考察要素は少ないが、メンバーの楽しそうな姿を見られたので満足です

なお私事ですが今回はセンターステージ最前列という神がかった席を引いてしまったため、興奮して演出に集中出来なかった部分も多いのでそのあたりはお許しください…
ただその分最前列だから気がついたことも載せていきたい

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
毎年夏のツアーは独自のダンスや曲のアレンジなど一捻りした演出が多いイメージだったが、今年はキャンプファイヤーくらいで結構正統派だったなというイメージを持った

3.振り返りポイント

3期以下の魅力を伝えたい!

1・2期で披露された『君の名は希望』の中で、今年のツアーは3期以下の各メンバーの魅力を少しでもわかってもらえればという趣旨の発言があった
その発言の通り、葉月や沙耶香ちゃんなど決してセンター経験が多くないメンバーを目立たせる演出があった
これは今後のライブでも他のメンバーでやるのかな
個人的にはありな演出だと思うし、何より私は沙耶香ちゃん推しなので嬉しかった

②公式ブログとのリンク

各メンバーのブログとツアーの内容をリンクさせる演出も印象に残った
ブログへの集客につながるし、ブログに力を入れているメンバーにとってはかなり追い風となる地味だが良演出
あとブログ風の文章内でメンバーから水分補給を促すのも、しらけさせずに周知するという意味では大変良かった

③『好きというのはロックだぜ!』

現状ライブでしか聴けないこの曲についてもレポートしていきたい

歌詞の世界観は「気持ちを伝えることから逃げていた僕が、君と出会って変わった」というもので、乃木坂らしい夏曲のテーマだと思う

曲調は乃木坂の夏曲では珍しい、大変王道な進行
景気は良いけど、似た系統の曲が多いからか一発で耳に入るようなキャッチーさはない感じ
(個人的なイメージとしては、2010年代後半のAKBとかにありそうな曲調という印象を持った)
タオルぶん回すのも楽しいし、聴きこめばライブでも楽しくなりそう

ただ大変印象に残ったのは「後悔させない、好きになってくれ」という一番最後のフレーズ
これが今の乃木坂からのメッセージに聞こえてならない
昨年末くらいからだろうか、乃木坂46から危機感というのを強く感じる
例えば下記の記事に代表されるように、真夏さんのMCでメンバーの卒業に触れこれからも信じてついてきてほしいというフレーズが多用されてきた
2021/11/21 真夏の全国ツアー2021 FINAL!東京ドーム公演Day2~高山一実卒業セレモニー
その危機感が曲レベルにまであらわれるようになったのが、このフレーズなのではないか

そこで「この曲が危機をどこまで止められるか」という点で考えていくが、ファン離れについては一定の効果があるように思う
今回の選抜メンバーもかなりファンの意向を汲んだものに見えるし、「好きになってくれ」というメンバーの訴えはファンの結束は高めそうだ

ただ一発で耳に残るほどキャッチーな曲ではないので一般層には訴求せず、巻き返しまでは繋がらないというところに落ち着くのではないだろうか
(なお一般層にまで訴求するキャッチーなアイドル曲はモーニング娘。の『LOVEマシーン』やAKB48の『ヘビーローテーション』を想定している。乃木坂で一番いいとこまでいきそうなのは『I see…』だと思うのだが、なぜ表題曲にしなかったのだろう…。)
ただ以下の記事で考察したようにあるように、乃木坂が今後カルトコンテンツとして生き残るのであれば一定の効果はあるのではないだろうか
考察:乃木坂46は国民的アイドルなのか~楽曲とメンバー構成から考える

④小ネタ 安定の真夏さん

かなり考察ネタが少なかったので、最前列だから気づけた小ネタをいくつか挟みたい

アンコールの衣装はライブT &スカートという定番スタイルだったが、大半のひとは膝上くらいの長さだった
しかし太ももが半分近く見えている「やっている」人が一人いるなあと思ったら、やはりというべきか真夏さんだった…笑
さすが期待を裏切らない笑笑
後輩ばかりだから厳しいのかもしれないが、欲を言えば誰かそこに突っ込んでほしかったなあ

⑤小ネタ 久保ちゃん・葉月ちゃん・柚菜ちゃんあたりに良いレスをもらえるアイデア

特に理由はないのだが、私は2019年辺りから乃木坂のライブには埼玉西武ライオンズの源田選手のユニフォームを着ていくことにしている
(もちろん特に西武ファンということではない)

あまりにも自分の中で当たり前になっており忘れかけていたのだが、今回はステージ最前列にいたこともあり想定外の効果があった
なんと西武ファンの葉月ちゃんが気づいてくれて、かなりテンション上げてレスくれたのだ
特に葉月ちゃん推しとかではなかったが、さすがにこれはめちゃくちゃ可愛かった

これ多分久保ちゃん(楽天)・柚菜ちゃん(ロッテ)あたりでも使える方法なんじゃないかな
乃木坂のファングッズを身につけてる人は多いので、こちらの方が埋もれなくて良いと思う

考察:乃木坂スター誕生!LIVE (昼・夜公演)2022/6/26

1.全体の感想

正直そこまで期待していなかったのだが、「ここでしか見られないもの」が詰まった満足感たっぷりたっぷりなライブだった
特に夜公演は現地で見ていたのだが、生で見てよかったな強く思うライブだった
今回は番組企画ということで考察要素少なめではあるが、昼夜公演通じて気になったポイントを振り返っていきたい

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
昼夜公演とも第一部で『乃木坂スター誕生!』内でカバーした人気曲(一部ライブで初披露の曲もあり)、第二部で乃木坂の曲をパフォーマンスする構成だった

第二部は基本的に普通のミニライブなので特筆すべきは第一部だろう
番組で人気のあった曲はほぼ入っていたのではないか
少なくとも僕はどうしても見たかった『恋愛レボリューション21』『ラムのラブソング』『空の泣きまね』『心の旅』が見られたので大満足です
(特に『心の旅』はオリジナルソングの『空の泣きまね』のほうが優先されるかなと思っていたので、まさか聴けるとは思わなかった)

3.振り返りポイント

①歌にフォーカスが当たったライブ

このライブの一番の特徴は「個々の歌にフォーカスがあたっていたこと」だと思う
歌番組から飛び出した企画なので当たり前ではあるのだが、今まであまりなかった形式なので全体ライブでは目立ちにくいパフォーマンス面の才能が見られたのが良かったと思う
個人的にすごいなと思ったのは

  • 遠藤・賀喜・金川・清宮・田村・林・松尾・弓木(・松陰寺さん)の『恋愛レボリューション21』。番組の時から思っていたけど、こんなに景気よいパフォーマンスができるなんて。
  • ゆりちゃんの儚いのに、芯がある歌声。『心の旅』『守ってあげたい』など特に心に響いた。
  • 弓木の『CRAZY GONNA CRAZY』『EZ DO DANCE』は曲を完全に自分のものにしてて、ぶちあがった。
  • 何よりも林の『プレイバックpart2』『どうにもとまらない』は鳥肌ものだった。歌も踊りの個々のスキルはもちろん、目で殺す感じとか全体の表現力のレベルが高い。「この子が乃木坂のセンターです」と言われても何ら違和感がないレベル。しかも『どうにもとまらない』は代打で急遽仕上げたという。末恐ろしい。

②先輩メンバー~積み重ねてきた年数

一部1~3期生の先輩メンバーが参加していたが、圧巻の貫禄だった

  • パワフルな声量とダンスがあまりにも仕上がっていたりりあとスーパーたまちゃんず(阪口珠美・佐藤楓・吉田綾乃クリスティー)の『世界で一番熱い夏』『ツイてるねノッてるね』
  • 説明不要。息を吞むほど美しい久保ちゃんの『I’m proud』『Everything』
  • (これはパフォーマンス力ではないかもしれないが、)「まなはまだ16だから」のネタを全力でやりきる真夏さん
  • あの山本リンダ様の横に立っても食われないひなちま『狙い撃ち』

正直普段のライブではそこまで目立たないと思っているが、やはり今回のような個々のパフォーマンスにフォーカスを当てたライブでは経験の差が如実に出るなと思った
こうやって努力してきた子たちが報われる環境があるといいな

③スペシャルゲストの素晴らしさ~生で見た山本リンダ・DJ KOO

ただその先輩ゲストを上回る印象を残していったのが、スペシャルゲストたちだった
特に生で見た山本リンダ・DJ KOOはあまりにも別格だった

とても70オーバーとは思えないパワフルなパフォーマンスの山本リンダ
あまりにも景気が良すぎて本当にこの世はこの人のためにあるのではと思うほどだった

DJ KOOについてはあまりにフロアの盛り上げ方がすごすぎて、乃木坂ファンばかりなのに今日イチ盛り上がってた
正直今までDJって何のためにいるんだろうと思っていたけど、本物は違うわ

ちょうど昼を配信・夜を現地で見たので強く思ったが、スペシャルゲストに限らずとにかく生で見る価値が高いライブだった
現地の盛り上がりがエグくて、下手するとパフォーマンスだけなら乃木坂ライブの中でも過去イチの満足感かもしれない
今回の歌にフォーカスを当てたライブは生で見ることを強くお勧めする
特に5期生スター誕生でも似たライブがあったら絶対に現地で申し込もう
(こう考えると『恋愛レボリューション21』も生で見たかった…昼公演申し込み忘れた自分を殴りたい)

④考察:乃木坂46の楽曲の価値について

かなり感想よりなのでここで軽い考察を一つ
本物の歌手の人たちは改めてすげえよと思ったのだが、アイドルの歌の価値とは何なのだろうか?

一般的にぱっと思いつくのはキャッチーで明るくなれるというものだろう
しかしこと乃木坂については今回のスペシャルゲスト並みに盛り上げられる曲は良くて『ガールズルール』くらいではないか
他には歌詞がよいというのが考えられる
しかし主観と推測の域を出ないが、歌詞の深さだけで言えばもっと良い曲は世の中にあるのではないか

個人的には乃木坂の曲の価値はそれ以外のところ、積み重ねてきたストーリーにあるのだと今日のライブを見て改めて思った
様々なライブでの出会いや別れを経て、グループの代表曲に進化した『きっかけ』や二期生のストーリーが色濃く感じられる『アナスターシャ』『ゆっくりと咲く花』が代表例だろう
ぼくたちは楽曲の裏側に彼女たちの歴史を見ているのだろう
(余談だがストーリーとして曲を売るのが難しくなるので、多少歌がうまいくらいだとアイドルのセカンドキャリア歌手ってのはかなり難しいだろうな…)
こう見ると改めて乃木坂はカルトコンテンツだな…
ちなみに乃木坂=カルトコンテンツ論は下記の記事に詳しいので良かったら是非
考察:乃木坂46は国民的アイドルなのか~楽曲とメンバー構成から考える

またそれ以外にも優しい世界観を醸し出す(例えば『今、話したい誰かがいる』や『僕は僕を好きになる』)などある気がする
詳細までは詰められていないので、いつか考え抜けたら別記事としてまとめたい

⑤4期生の物語の始まり

またメタ的にとらえると、このライブは4期生の物語の始まりだと思う
今まで4期生は特に物語や個性がなくてもフレッシュさで押し切れたし、4期生単独ライブや各種4期生番組である程度プッシュしてもらうことができた

しかしこれからは違う
5期生というさらにフレッシュな後輩が入ってきて、4期生の冠番組はなくなってしまった
4期生全体ライブだって減っていくだろう
つまり売り出し期間が終わり、自分たちで物語を積み重ねていくべき時期に入ったのだ

そういう意味ではさらば青春の光のお二人が映像で登場したり、ぺこぱのお二人がMCとして見守るなど新たな船出を見守っているように見えた
4期生がどのようなグループとなっていくのか、これから一層目が離せない

⑥早川聖来について

基本最高なライブであったが、唯一彼女がいないことが残念ではあった
ただ詳細まではつかめないものの、かなり大変そうなので今はゆっくり休んでほしい

しかし乃木坂は彼女を待ってくれるグループであってほしい
まあ彼女が出演予定であった『どうにもとまらない』で彼女のうちわをメンバーが持っていたり、『猫舌カモミールティー』でまゆたんがたこ焼きポーズするなど愛に溢れたグループなのできっと大丈夫だと願って

考察:乃木坂46 10th YEAR BIRTHDAY LIVE (10thバスラ)Day2 2022/5/15

1.全体の感想

ぶっ飛ぶほど豪華な10周年バスラ2日目だった
卒業生オールスターが勢揃いし、しかもまいやんの『ガールズルール』煽りをはじめそれぞれが一番輝く形でもう一度見られるなんて夢のようだった
しかもOGだけが光ったのではなく、運営と現役メンバーの覚悟が伝わる神ライブだった

以下ではいつものようにポイントを絞って振り返っていきたい
なお今回は現地観戦でリピート配信見ていないので、詳細あやふやな部分もあるがその分現地ならではの観点でもレポートしていければと思う
また一日目と被る演出も多いので、良かったらDay1の考察記事も読んでみてください
考察:乃木坂46 10th YEAR BIRTHDAY LIVE (10thバスラ)Day1 2022/5/14

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
Day1同様2017年以降の代表曲を中心とした、10周年に相応しい正統派なセットリスト・演出だったと思う

3.振り返りポイント

①豪華すぎる卒業生

昨日の生駒ちゃん・まりか登場も本当に嬉しかったが、今日もえらい豪華なOG参戦だった
『帰り道は遠回りしたくなる』で出てきたなあちゃんに始まり、『しあわせの保護色』冒頭で出てこないとフェイントをかけてからラスサビで途中参戦しそのまま『シンクロニシティ』までバキバキに踊る白石さん
舞台期間&他事務所だから絶対に来られないと思っていたが、なぜか参戦してしまう相変わらずの鉄人いくちゃん
しまいにはアンコールにさゆりん・かずみんまで登場し、まさにオールスター勢揃いだった
昨日の流れもあって今日も卒業生誰か出てくるかなとは思っていたけど、ちょっと豪華すぎやしませんか

しかもそれぞれがあのころと変わらず、僕たちが一番見たかったものを見せてくれるのも本当にうれしかった

  • なぁちゃんが真夏と『帰り道は遠回りしたくなる』で少し恥ずかしそうにクルクルしたり、与田ちゃんと仲睦まじそうに寄り添って歩いたり(しかも与田ちゃんはコロナ陽性からギリギリ復帰できたという奇跡!)
  • いくちゃんが真夏とタイトハグ。相変わらずの真夏大号泣。
  • さゆりんは設楽さんとライブ見ていたことを嬉々として語り、それに設楽さんは「ハフーン」で日村さんは「バルシャーク」のポーズで応える
  • かずみんがMCで噛み倒す…笑
  • そしてまいやんが『ガールズルール』冒頭で煽っている…。

こんな夢のような光景がまた見られるなんて、10万円払っても価値があるライブだと思う

②全体構成と『他人のそら似』

一部の最近の曲(うろ覚えだが、『僕は僕を好きになる』以降か)を除いて、会場では昨日同様メンバーが踊っている裏で過去のライブやMVの映像を一部のモニターに流し現在のメンバーとオーバーラップさせるという演出がとられていた
改めて一つ一つの映像から「あの頃」を振り返れるし、それがうまく継承されていることも伝わる良演出だった

そしてこちらも昨日同様、『他人のそら似』でこの構成が回収されることとなる
過去楽曲の印象的な部分を再構成してこの曲の振付がつけられているが、そこに原曲のライブ映像を重ねることで10年の流れを感じることができるまさにバスラらしい演出だった
この乃木坂の歴史を積み上げていくような演出の最後に来る歌詞が「君は君だよ」なのは、すごく乃木坂らしくて好きだった

③アルノ復帰後初の『Actually…』

アルノちゃん復帰後初の『Actually…』披露がこのバスラだった
どうなることかと思っていたのだが、ゴリゴリの映像演出が入っていてメンバーのパフォーマンスより演出の格好良さに焦点が当たった形になっていた
それ故に46時間テレビのときのような、アルノちゃんに特別焦点があたるパフォーマンスには見えなかった

私個人の感想としては、初めて見た時のような「怖さ」や「危うさ」はかなり薄れたように感じた
パフォーマンスで魅せるということは「危うさ」を(もちろん同時に甘美な魅力も)孕むが、このようにゴリゴリ演出で押し切るのであれば、パフォーマンスレベルの高低なんて正直そこまで問われない

ただ曲として果たしてこの方向で良いのかという疑問は残る
パフォーマンスにこだわる層には響かないように見えるし、曲への思い入れなどにこだわる乃木坂ファンにもメンバーの個性を殺す方向に働くこの曲が響くとも思えない
結局のところ「なんとなく格好良い」暗いが落としどころになるのだろうか…
また夏の全国ツアーとかでも披露されることはありそうなので、引き続きウォッチしていきたい

ちなみに『Actually…』が持っていると思っていた「怖さ」や「危うさ」については下記の記事で詳細解説している
考察:『Actually…』なぜ乃木坂史上最大の問題作なのか

④2日にわたる『制服のマネキン』から見えたもの

あまりにも豪華なOG登場パートにはまだ負けてしまうかもしれないが、それでも今日のライブのハイライトと私がしたいのは『制服のマネキン』である

「これからの彼女たちも、間違えなく美しい」

上記のフレーズから始まったのは、なんと前日に生駒ちゃんセンターでこれ以上ない盛り上がりを見せた『制服のマネキン』であった
センターは間違えなくこれからの乃木坂を引っ張っていく遠藤さくら
昨日に勝っていたとは言えないが、引けを取らない気合の入り方は過去の威光に負けたくないという宣戦布告にみえた

このバスラはOG参戦にとにかく湧いた2日間ではあったが、この『制服のマネキン』のパフォーマンスをはじめ現役メンバーの覚悟が見えたライブでもあったと思う
美月のMCの「今がピークにならないように」という発言もその象徴であろう
さくちゃん・美月というこれからの乃木坂を引っ張っていくであろうダブルエースからその決意が見て取れたのは、このライブで最も嬉しかったことかもしれない

そしてこれはメンバーだけでなく運営側も腹を決めているように見える
この2日間にわたり錚々たるOGが参戦したが、そもそもこの段階で全員呼ぶ必要があったのだろうか?
せいぜい1人2人呼ぶだけでも話題性という意味では十分だっただろう

正直今回来たメンバー以上に、復活したときに話題となるメンバーはいないのではないか
(正確に言えば、橋本さんがいるけど一般人に戻ったし流石にね…)
そのカードを出し惜しみせずに全員使い切ったことで、これからは今いるメンバーと戦うという覚悟が見て取れた

「これからの彼女たちも、間違えなく美しい」
改めてこの言葉をかみしめ、彼女たちの11年目に期待したい

考察:乃木坂46 10th YEAR BIRTHDAY LIVE (10thバスラ)Day1 2022/5/14

1.全体の感想

これ以上ないほど美しい10周年ライブだった
生駒ちゃんセンターの『制服のマネキン』復活など夢妄想の類でしかあり得ないと思ってたことが、こんなにも完璧な演出で実現するなんて…
以下ではいつものようにポイントを絞って振り返っていきたい
なお今回は現地観戦でリピート配信見ていないので、詳細あやふやな部分もあるがその分現地ならではの観点でもレポートしていければと思う

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
2016年までの代表曲を中心に、10周年に相応しい正統派なセットリスト・演出だったと思う

3.振り返りポイント

①『制服のマネキン』に至る流れ

まず真っ先に今回最大のサプライズ、生駒ちゃんセンターの制服のマネキンについて触れさせていただきたい
ただ私の稚拙な語彙力ではこのサプライズを十分語ることができないのが非常に残念である
生駒ちゃん卒コン後に夢にまで見た光景が、まさか目の前で広がるなんてただただ尊かった

もちろんサプライズ自体が涙なしには見られないものなのだが、そこに至るまでの演出も素晴らしかった
このパートでは三期生が手紙で楽曲と先輩に対する思いをつづり、その後パフォーマンスに移るという流れであった
・梅ちゃん まいやんへの憧れ→『せっかちなかたつむり』
・でんちゃん まりかへの思い→『狼に口笛を』
上記の流れから、初期の名曲を3・4期中心に継承するというある種ライブの定番テーマに沿って進んでいくのかと思っていた

その次の手紙は大変不思議な手紙であった
書きぶりからするとオリメンセンターのようだったので、初期楽曲だと『海流の島よ』くらいしかなくないかと思っていたが「もうやらないと思ってました」という部分が???となった
そして生駒ちゃんの名前が読み上げられたとき、半信半疑のどよめきが起こり映像に彼女が映ると思わず歓声が湧いた

もちろん10周年ということもあり、卒業生誰か来るのかなと「妄想」したこともある(可能性はゼロに近いと思っていたので、「予想」ですらなかった)
ただまさかこの流れで卒業生が出てくるなんて誰が頭によぎっただろうか
(実際に会場でも名前が呼ばれるまで誰の手紙かわからなかったような反応だった)
全く予想だにさせなかったという意味で、サプライズ演出の大勝利だと思う

②『ここにいる理由』

生駒ちゃん登場が上記のように手の込んだ演出だったのに対し、まりかちゃんの登場は対象的だった
さも当たり前のようにナチュラルに『ここにいる理由』に参加し、一言も発さずに帰っていった…笑
この扱いの差は賛否両論ありそうだが、個人的にはまりかちゃんの「職人感」が出ていて格好良かったなと思っている

またまりかちゃんが来てくれたのはちょっと意外だったなと…
生駒ちゃんとか玲香ちゃん、まいやんやなあちゃんがいつか乃木坂とパフォーマンスするのは少しあるのかなと思っていたが、まりかちゃんはもう乃木坂と関係ないところで生きて行くのかなと思っていた
それだけにまりかちゃん登場は嬉しかった

③アンコール入りのカメラワーク

生駒ちゃん・まりかちゃんはアンコールにも参加してくれたが、このアンコールにも細かいがニクい演出があった
アンコール入りの生駒ちゃんの煽りを生駒ちゃんが担当していたが、煽りに少し遅れて生駒ちゃんにカメラのピントを合わせる、これが細かいけど本当に良かった
乃木坂ファンなら親の声ほど聞いた生駒ちゃんの煽りで感づいてテンションぶちあがるし、やはり生駒ちゃんがステージに戻ってきたことを映像で再確認できたときに二度美味しい

④過去映像とのオーバーラップ

OG登場パートは激アツだったが、ほかにもとても良い演出があった
配信ではどうなっているかわからないが、会場ではメンバーが踊っている裏で過去のライブやMVの映像を一部のモニターに流し現在のメンバーとオーバーラップさせるという演出がとられていた
一つ一つの映像から「あの頃」を振り返れるし、それがうまく継承されていることも伝わる良演出だった

この演出が抜群の威力を発揮したのが『他人のそら似』だった
過去楽曲の印象的な部分を再構成してこの曲の振付がつけられているが、そこに原曲のライブ映像を重ねることで10年の流れを感じることができるまさにバスラらしい演出だった
もしかすると以下の初披露の時から、この演出が想定されて作られていたのだろうか
・2021/08/21 真夏の全国ツアー2021 福岡公演Day1
そうだとすると鳥肌ものだな…

⑤演出大勝利

セトリや構成の考察を趣味とする人間からすると、決して今回のセトリは目新しいものではなかったと思う
卒業生登場も含め、実現可能性は低いと思っていたが妄想の範疇にとどまるものではあった
それでもこんなに感動したのは、その見せ方が素晴らしすぎたからだろう
卒業生含めメンバーが大正義なのはもちろんだが、今回に関しては演出も大勝利だったと思う
改めて10周年に相応しい演出をありがとうございます

考察:『ないものねだり』なぜ乃木坂46橋本奈々未はファンの心に残り続けるのか

0.はじめに

秋元康の詩集『こんなに美しい月の夜を君は知らない』の出版を記念して、歌詞解説募集キャンペーンなるものが行われていた
私も応募してみたが、このサイトでも避け続けているように歌詞の考察は苦手である…

しかし下記の『Actually…』の記事のように曲をメタ的な目線でみて、考察を行うことは割とできると思う
・考察:『Actually…』なぜ乃木坂史上最大の問題作なのか
今回はキャンペーンの対象曲でもあった『ないものねだり』を題材に、なぜこの曲がファンにとって特別な曲であり続けるのか、ひいてはなぜ私たちの心に橋本奈々未さんがなぜ心に残り続けるのかを考察していきたい

1.序論~卒業ソロ曲としての『ないものねだり』の異質性

乃木坂には卒業にあたってソロ曲をもらうメンバーが多くいるが、やはり別れを真正面から取り上げた曲が多い
その中で異質なのが橋本奈々未さんが歌う『ないものねだり』である
表題曲の『サヨナラの意味』が真正面からの卒業ソングだったこともあるのか、テーマ設定が一見卒業と何ら関係がないように見える
しかしわたしはある種この『ないものねだり』こそが、最もアイドルからの卒業を感じされた曲ではないかと思う

2.本論~『ないものがたり』の世界観について

『ないものがたり』の世界観を一言でいうと、「足るを知る」という価値観に尽きるように思う
そしてこの価値観が主人公の中でどんどん大きくなっている様子が見て取れる
なお歌詞についてはこちらのサイトでご確認いただきたい

まず冒頭の描写からすでにアイドルソングとしてはかなり違和感がある
冷たい外界と暖かいベッドという対比があるなら、通常のアイドル曲なら外に打って出るだろう

そしてサビの部分でこの行動は気まぐれではなく、主人公の信念に基づくものだというのが明かされる
この信念は、アイドルのキラキラした上昇志向や成長願望とはかなり異なるものだろう

これらのアイドルらしくない世界観は現実世界ともリンクする
弟の学費を賄うため、弁当がもらえるからなどといった理由でアイドル界に紛れ込んだ橋本奈々未さんが歌うととてもリアルなのである
そして歌詞の最後で眠りにつく夜(「私」の世界)だけでなく、昼(「公」の世界)でもアイドルらしくない世界観を持ち始めた様子が描かれている
これは橋本奈々未さんによるアイドルへの決別宣言ととらえられるのではないか
ここまで大胆で強烈なアイドル卒業ソングは後にも先にもないだろう

3.結論~なぜ橋本奈々未さんは伝説になったか

このアイドル・ななみんを強烈に奪われた印象が、ファンの中にある種のトラウマとなって『ないものがたり』が忘れえぬ曲となったのだろう
そして『ないものねだり』に限らずこの強烈に奪われる感覚、これこそが橋本奈々未さんを伝説としているのだと思う

私は橋本さんの卒コンラストでも同じ感覚を味わっている
握手会等で会うこともできたななみんが、緑色のペンライトの海の上方にゆっくりと消えていったとき「この人は神になって、もう二度と会うことはできないんだな」とすら感じた
(この演出考察については、かなり昔のライブにはなるがいずれ見返して記事にしたい)

本人のもう二度と芸能界に戻ってこなさそうな発言に、曲や演出も手伝って強烈にななみんを奪われた感覚がある
どのメンバー卒業時よりも強いトラウマ・喪失感を与えたことこそが、橋本奈々未さんを伝説とした一因なのではないか

乃木坂46 29thSG アンダーライブDay3考察 2022/3/27

1.全体の感想

アンダーライブ第二章が幕を開けた、そう感じさせる画期的なアンダーライブだった
とはいえもちろんアンダーライブらしい熱量は残した、良いライブであった
なぜアンダーライブの新展開を感じたのかを中心に、以下ポイントを絞って考察していきたい

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
アンダーライブらしい格好良い曲を中心に、「思い出の一曲コーナー」と称して珍しい曲も取り入れたよいセットリストだと思う

3.振り返りポイント

①座長・佐藤楓について

でんちゃんは「私がアンダーセンターに選ばれたのは意外」と発言していた
初めて知ったときは4期生じゃないんだと私も少し意外に思ったことを記憶している
ただ振り返ると順当だったな、と私は考えている

前回・前々回のアンダーライブは事実上2期生の卒コンであり、平場のアンダーライブは久々であった
(当時の考察は下記記事よりご参照ください)
2021/05/27 乃木坂46 アンダーライブ2021
2021/10/28 乃木坂46 28thSG アンダーライブDay3
良い卒業ライブではあったがベテランである2期生をメインに据えたことで安定感が生まれ、ややアンダーライブらしい熱量には欠ける側面もあった

従ってアンダーライブらしい熱量を取り戻す、というのが今回のライブのミッションとなるのは必然である
そういった意味では24th以前のアンダーライブらしさを知っている3期生が選ばれるのは順当である
でんちゃんはパフォーマンスもキレキレなので、納得の人選かな

②エグい熱量

そして上記熱量を取り戻すというミッションは十二分に達成されたと思う
アンダーライブらしいセットリストであったことも手伝って、配信画面越しにもボルテージは最高潮に達したように見えた

その象徴となったのが最後のMCからの展開だろう
誰もが達成感にあふれた表情をし、みゆちゃんの涙など見どころも多かった
なかでもりりあの「卒業が絡んでいないアンダーライブにこんなに心が動かされるとは…」という発言は本当にこのライブをよく表していると思った
このライブを終わらせたくないという思いから生まれた、生歌の『きっかけ』やダブルアンコール『ハウス』は私が言うまでもなく感動モノでした
ダブルアンコールってこういう時のためにあるものなんだなとすら思った

③アンダーライブの質的な変化~東京ドーム構想から考える

熱量がエグいアンダーライブが帰ってきた、それはとても喜ばしいことである
ただかつてのアンダーライブとは質的な差があり、第二幕に入ったなという印象を受けた
そしてその差は熱量の源泉の違いに由来すると考えている

かつてのアンダーライブ(特に私がアンダーライブを積極的に追いかけていた13枚目くらいと、その少しあとくらいまで)は選抜への登竜門的な側面があったように思う
選抜への対抗心や向上心が尋常でない熱量を生んでいたと思う

一方今回のアンダーライブの熱量は、選抜への思いとは少し毛色が違う気がする
どちらかというとアンダーライブとしての誇りを持っており、全員で一丸となりその成功を目指してきたが故の熱量という印象を受けた
その象徴がまあやがMCで語っていた「アンダーライブin東京ドーム構想」だろう
アンダーライブ自体を大きくするという発想は、選抜への意識とはかなり方向性を異にするものだと思う

この質的変化の功罪を論じるのは非常に難しい
悪い方向でとらえると選抜との断絶ということが言えると思う
かつてほど選抜・アンダー間の流動性がなく、アンダーメンバーの固定化が招いた帰結ととれる
一方で良い側面も垣間見える
アンダーでも仕事が入る環境があり(れなちのラジオとかが代表例)、必ずしも全員が選抜を目指す必要がなくなったといえる
(やや議論はずれるがこれは運営側の尽力の賜物であり、1・2期アンダーメンバーの努力の結晶ともいえる乃木坂の本当に素晴らしい点だと思う)
また選抜枠を争うより、全員でアンダーライブの成功を目指すという発想は乃木坂っぽくはある
どちらの側面からも見ることができ、手放しで喜んでよいものなのかは判断がつかない

ただ私としては「アンダーライブin東京ドーム構想」、久々にワクワク感があるチャレンジだと思う
アンダーライブの拡大を目指す第二幕、ますます彼女たちから目が離せない
(こんな展開を用意したまあやはやはり天才だし、まだまだ乃木坂にいてほしい存在だな)

④感想に代えて~4期生について

ここからは考察というよりは単なる感想である
まあやも言っていたが4期生の成長が目に留まった
特にやんちゃんとゆりちゃんはかなり引き込まれた

やんちゃんがダンスがうまいのは元からだったが、今回のアンダーライブでは表情まで仕上がっているのが素晴らしいなと思った
ここまでくるとパフォーマンスはトップクラスだし、歌番組とかに選抜の代打で出てもいい意味でかなり目立つんじゃないかな

ゆりちゃんは本当に歌声が魅力的だと思う
今日の『サヨナラの意味』はもちろん、「乃木坂スター誕生!」で歌っていた『心の旅』とかも何故か涙が止まらなかった
インテリ方向で売ってきているけど、個人的にはもっと歌も聴いてみたいな

乃木坂46 北野日奈子卒業コンサート考察 2022/3/24

1.全体の感想

まずはきいちゃん卒業おめでとう!!
きいちゃんの暖かさが伝わるとても素敵な卒コンだったのはもちろん、乃木坂史に残る名ライブだったと思う
それは軽く心に引っかかっていた「あの頃」の心残りを綺麗に昇華させてくれたからだと思う
以下ではいつものようにポイントを絞って振り返っていくが、2期生推しの私にはかなり思い入れがあるメンバーなのでそこは差し引いて見ていただきたい

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
アンダー曲を中心に、2期生曲・サンエト曲・ライブ定番曲を散りばめた構成だった
特にきいちゃんがアンダーだったころからのファンにとっては、かなり神セットリストなのではないか

3.振り返りポイント

①「あの頃」のアンダーライブのキラキラ感

VTRでもアンダー楽曲への思い入れを語っていたが、アンダー曲中心のセットリストだった
その選曲のおかげで1・2期生が中心だった「あの頃」のアンダーライブのキラキラ感を思いおこし、とてつもなくエモい気分になった
堀ちゃんがいて、まいちゅんがいて、蘭世がいて、みり愛ちゃんがいて、中田がいて、ひめたんがいて、もちろんきいちゃんがいた「あの頃」である…
アンダーメンバーが選抜にガンガン入ってきて、次は誰がくると考えるとわくわくした「あの頃」を思い出した

また彼女の卒コンがアンダーメンバーに囲まれる形になったのも納得感がある
きいちゃんは「あの頃」のセンターの最後の一人であり、きっとこのキラキラ感を醸し出せる最後の一人である
きっとこの空気に触れられたのは3・4期のアンダーメンバーにとってもかなり良い影響があるんじゃないかな

②「あの頃」の心残りの回収~2期生について

冒頭でも触れたが、「あの頃」から自覚なく僕らの心の中に残り続けた棘を綺麗に昇華してくれた名ライブであった
その棘の一つが2期生の物語である

本来2期生の物語は堀ちゃんの卒コンである2期生ライブで大団円を迎えたはずだった
ただ下記の記事でも紹介しているが、このライブは未練を苦悩しながら断ち切るようなかなり衝撃的なライブでもあった
2021/03/28 乃木坂46 9th YEAR BIRTHDAY LIVE 2期生ライブ
これはこれで2期生らしい良いライブ(というより私は乃木坂の中でもトップクラスに好きなライブである)であったのだが、決してめでたしめでたしという終わり方ではなかった

この心残りを解消してくれたのが今日のライブであったように思う
笑顔で言ってくれた「乃木坂の2期生でよかった」、この言葉でどれだけ救われたか
サンエト楽曲や『ゆっくりと咲く花』『バレッタ』と2期生の歴史をなぞり、最後は卒コンの定番『乃木坂の詩』で笑顔で締める
不遇と言われた2期生の物語をハッピーエンドの物語として再構成してくれて、2期生推しとしてこんなに喜ばしいことはない

余談ではあるが、2期生に少しエヴァンゲリオンに近いものを感じた
モヤモヤを残す終わり方を再構成するカタルシス…
これこそがこのライブが乃木坂史に残る名作である理由の一つである

③「あの頃」の心残りの回収~中元日芽香について

「あの頃」のもう一つの心残り、それは志半ばで乃木坂を去ることとなったひめたんについてである
今日のライブはもちろんきいちゃんの卒業ライブではあったのだが、一緒に「あの頃」のひめたんの思いも浄化してくれるようだった

というのもきいちゃんがめっちゃひめたんのこと意識させるのだ
最後のスピーチで「乃木坂46にずっと片想いをしていた」というひめたんの言葉を引用したり、アンコールに『君は僕と会わない方がよかったのかな』を持ってきたり、こんなの泣いちゃうよ
アンダーセンターとして単独の卒業ライブがかなわなかったひめたんの思いも報われたんじゃないかな

2022/3/26追記
ひめたんブログに以下の記載がありました
この記事を書いてる時点では一ファンの考察(ややもすれば妄想)でしかなかったけど、本当に心残り回収できたみたいでよかったです!

数年越しの回収。
鮮やかで、眩しくて、ちょっとジェラシーもありつつ、何より愛に溢れていました。

これはあくまで妄想ですよ。
ひとりごとですけれども。

私が忘れ物したまま途中下車した分もしっかり回収して、彼女が終着駅まで持っていってくれたような気がしました。
退いてからも心の片隅で引っかかるものがあって、何だろうと思っていましたがきっと未練だったのでしょうね。でもやっと自然に手放せた気がします。

最大限のリスペクトを込めて。
本当にお疲れ様でした。

引用:https://nakamotohimeka.com/s/m02/diary/detail/541?ima=4549&cd=blog

④「あの頃」の心残りの回収~渡辺みり愛について

知ってか知らずか、きいちゃんはみり愛ちゃんの心残りも回収していたらしい
以下、みり愛ちゃんのInstagramストーリーからの引用です

「風船は生きている 披露する事はずっと日奈子から聞いてたけどいざ見たら泣いちゃったよ ファンの皆様、白いサイリウム本当にありがとうございます。それでも泣いた笑」

「私が卒業する時、残念ながら配信しかなかったので最後に見たい景色が見れなくて。だから今日日奈子が代わりに歌ってくれて白い素敵なサイリウムの景色を見れて嬉しかったです」

引用:https://www.instagram.com/miria.watanabe_official/

これについては私が多くを語るまでもないのでこのあたりで

⑤卒業ライブとしての評価

今回きいちゃんの卒業ライブなのに2期生やひめたんなど、ほかメンバーの思いを回収していくことが多かった
これは卒業ライブとしてはどうなのかという印象もあるかもしれない
しかし逆説的ではあるが、この形がきいちゃんの魅力が一番伝わる卒業ライブだったのではないか

正直今回の卒業ライブ、事前の期待はそれほどではなかった
ラスト『日常』は見どころとして考えられたが、きいちゃんが決してキャラが強いほうではなかったこともありそのほかの構成が読めなかったからだ
選抜メンバーがいないのも力を抜いているのかなとも邪推してしまっていた

しかし他のメンバーとの関係性に焦点を当てることで、きいちゃんの暖かさが本当によく伝わった
れのちゃんやたまちゃんら3期アンダーメンバーを支えてくれたり、すでに卒業したメンバーとの支えあいだったり…
本当にきいちゃんの良さが詰まった卒業ライブだったと思う

「忘れないでほしい」と言われるまでもなく、忘れられない卒業ライブである
彼女の人生にたくさんの幸せがありますように

考察:『Actually…』なぜ乃木坂史上最大の問題作なのか

0.はじめに

ここ数回のライブ考察記事で触れてきたが、『Actually…』を私は史上最大の問題作としてとらえている
しかしこの問題意識をうまく伝えられていない気がするので、テーマ考察として取り上げたい
なお『Actually…』考察は下記の記事でも触れているので、良ければこちらも読んでいただきたい
・2022/2/23 10th Anniversary 乃木坂46時間TV スペシャルライブ
・2022/3/15 乃木坂46の「の」 presents 「の」フェス

1.序論~危うさの本質は中西アルノか?

初めて『Actually…』のパフォーマンスを見た時、危うさの本質を私は若干見誤っていたように思う
どうしても中西アルノちゃんに目が行ってしまい、乃木坂変革の黒船として乃木坂をぶっ壊しにきたのかと感じた

運営側の意図はわからないが、しかし本当に彼女だけで乃木坂の雰囲気をぶっ壊すことなどできるのだろうか?
乃木坂に限らずアイドルの歴史を振り返った時、グループが売れた後に空気を一変させるメンバーが入ってきたことはほぼないと思う
アルノちゃんの引き込まれるような才能は確かに魅力的であり29枚目シングルではとても目立っているが、30thシングル以降も空気をガラッと変えられるかというとやや疑問符が付く

その後アルノちゃんは休業し「シブヤノオト」や「の」フェスで飛鳥・山下のダブルセンター(個人的にはフォーメーションが目まぐるしく変わるダンスゆえに飛鳥・山下のダブルセンターというより不在に見えたと話していたが、公式でダブルセンターと言っていたので訂正する)で『Actually…』のパフォーマンスは披露されているが、それでも私にはこの楽曲が引き続き危うさをはらんでいるように見えた
もしアルノちゃんが危うさの本質なら、休業後のパフォーマンスがそうは見えないだろう
そこで私は考えた

『Actually…』の危うさの本質は中西アルノではなく、この曲のパフォーマンスそれ自体なのではないか

2.本論~他アイドルとの比較で考える

『Actually…』最大の売りは本格的なフォーメーションダンスである
アルノちゃんの休業に伴いセンターをクローズアップするかという点は大きく変わったが、かなりこだわりがないとできないレベルのフォーメーションダンスであることには変わりない

しかしこのハイレベルなフォーメーションダンスこそが、私には危うさの本質であるように見える
なぜなら秋元系アイドルがパフォーマンスを重視すると、歪みが生じてしまうことが多いからである
以下では他アイドルの例も参考にしながら、パフォーマンス重視がなぜ歪みを生んでしまうか・乃木坂に当てはめるとどうなるかを考察していく

①SKE48の場合

秋元系で最初にパフォーマンスに力をいれていたアイドルと言えば、SKE48が思い浮かぶ
かつてSKE48のファンであった私は、2013年の選抜常連組を含む8人同時卒業発表という異常事態には正直ショックを隠せなかった
この事象にもパフォーマンスを重視する文化が絡んでいるとみている

秋元系アイドルの多くはシングル表題曲を歌うメンバーを決める選抜という制度がある
パフォーマンスの重視の文化では、パフォーマンスレベルが高いものが選抜に選ばれるべきと思うメンバーが出てきても不思議ではないだろう
(実際にこちらの記事にあるように、振付師牧野アンナが特定メンバーについて上記のような分析をしている)
しかし選抜というのはパフォーマンスだけで決められるわけではない
特に若手の有望株については運営側は積極起用したいはずである
しかし新入りメンバーのパフォーマンスレベルは既存メンバーと比べて高くないことが多く、彼女たちが選抜されていくことは一部のパフォーマンス重視メンバーのモチベーションを低下させ空気が悪化することを容易に想像させる
そうして選抜を外れたメンバーは外仕事に目を向けるが、こちらの記事にあるように外仕事に関連する運営側のまずい対応などもあり大量卒業につながったというのが真相ではないか

またパフォーマンス重視ということは、心身の不調が卒業につながりやすいという特徴もある
実際に平松可奈子は卒業の直接的な理由にけがを挙げている
パフォーマンスにここまでのこだわりを持つ集団でなければ回復を待つこともできただろうが、空気的にも本人的にもそれは許されることではなかったのだろう

確かにSKE48のパフォーマンスレベルは高かったし、ファンもそれを望んでいた
しかしそれが結果としてメンバーとの別れの一因となったのなら、それは皮肉なことである

②欅坂46の場合

次にパフォーマンスを重視する集団として印象深いのは欅坂46である
こちらについては同じ坂道シリーズということもあり、活動休止に至るまでの顛末は記憶に残っている人も多いのではないか
ドキュメンタリー映画『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』でも活動休止までの真相が多く語られているが、私はこちらの主因についてもパフォーマンス重視の文化があったと考えている

映画内でもかなり多く語られていたが、欅坂のアイデンティティはフォーメーションダンスで魅せる圧倒的なパフォーマンスであった
このフォーメーションダンスというのが、全員の息を合わせる必要がありなかなかの曲者である
欅坂は最後まで1期生による全員選抜制度が根付いていたが、パフォーマンスにおける不確定要素を減らすためだったように思う
ただし全員選抜という聞こえの良い言葉とは裏腹に、ひらがなけやきの扱いが難しくなるなど風通しを悪くする側面もあったように思う

平手友梨奈の脱退にもパフォーマンス重視の文化が影響していたように思う
脱退前には『10月のプール』のパフォーマンスに納得がいかずMV撮影現場に現れない姿などが語られていたが、こちらも2期生をパフォーマンスに加えようとしたことからレベルを下げざるを得なかったと考えられる
そしてモチベーションを失った彼女が行きつく先が脱退だったのではないか
さらにフォーメーションダンスの核である彼女を失ったグループは活動休止&改名というところまで追い込まれてしまったのだろう
(現在の櫻坂46もフォーメーションダンスにはこだわりがあるようだけど大丈夫なのだろうか…)

またSKE48同様にパフォーマンスへのこだわりはメンバーの卒業にもつながっている
鈴本美愉の卒業はこちらの記事にもあるようにパフォーマンスに心身が追い付かなくなったという理由で卒業している

一例だけなら単なる偶然で済まされるかもしれないが、SKE48・欅坂46ともに少なからず問題があったということは秋元系アイドルにとってパフォーマンス重視するというのは諸刃の剣になりうることを証明しているように思う
なおこれらのグループのファンは少なからずパフォーマンスに魅せられており、パフォーマンス重視が必ずしも悪いことばかりではなかったことは補足しておく

③ハロプロ・K-POPの場合

同じパフォーマンス重視のアイドルでもハロプロやK-POPでは目立ったほころびはないように見える
なぜ秋元系アイドルだけがパフォーマンス重視すると歪みが生じるのかという疑問はありうる
しかしこれらのアイドルグループはパフォーマンス重視でもグループが耐えうる条件がいくつかあるように思う

まずは人数である
これらのアイドルは多くても10人程度であることから、選抜だけでも20人前後いる秋元系アイドルよりはメンバー間のパフォーマンス実力差は小さいと考えられる
その分パフォーマンス実力差からメンバーの不和は生まれにくいだろう
そして少人数であれば楽曲による選抜制度も設ける必要がなくなり、選抜制度と相性の悪いパフォーマンス重視を採用しても問題ないのではないか

またこれらのグループは結成時点から一定以上のパフォーマンスを求めているため、そもそもパフォーマンスできないメンバーがグループにいることは想定する必要がない
K-POPではオーディション時点からパフォーマンスレベルを重視するし、ハロプロは研修生制度があり一定以上実力をつけないとグループに配属されない
グループに入ってからパフォーマンスを一から身に着ける秋元系とは思想が異なるのだ

これらの要因から秋元系アイドルのみがパフォーマンス重視と相性が悪いと考えており、非秋元系を持ち出して反論するのは適切でないと考える

④乃木坂46に当てはめた場合

ここでは『Actuallly…』をきっかけにして乃木坂にパフォーマンス重視の文化が根付いたと仮定して、どのようなことが起きるか想像してみたい

乃木坂の基本ストーリーは「内気な女の子が仲間を得て強くなる」だと思う
しかしパフォーマンス重視というのはSKE48や欅坂46のように、パフォーマンスができない仲間を切り捨てるという側面があるのは否めない
この仲間の切り捨ては乃木坂の世界観ではありえなく(むしろ現在は誰一人見捨てない世界線にみえる)、言ってしまえばストーリーの180度転換となってしまう
これが『Actually…』のパフォーマンスを見て、「乃木坂が壊れるかもしれない」と私が思った理由である

パフォーマンスレベルが上がるというメリットとデメリットを比較したとき、乃木坂ファンはどちらをとるだろうか
私はストーリーに共感したものなので、この方向転換は少なからず抵抗がある
また仮にパフォーマンスのレベルを下げないためにメンバーが卒業すると決断したとき、乃木坂にそんなものは求めていないと受け入れがたく感じるファンも多いのではないか

3.結論~危うさの本質と展望

以上のように『Actually…』のパフォーマンス重視路線は結果としてメンバー切り捨てにつながりストーリー転換をもたらす可能性があることが、この楽曲を乃木坂史上最大の問題作に仕立てる本質的な危うさだと考えている
しかし今まで仲間を大切にする文化を築いてきた乃木坂ちゃんたちであれば、仲間の輪を保ちつつもこの曲を演じ切ることができるのではないかという期待もある
私には今こそ乃木坂らしさの真価が問われる時が来ているように見える

またプラスにとらえればファン自身も『Actually…』をきっかけに乃木坂らしさを考えなおすきっかけになったのではないか
私も優しい世界観、パフォーマンス時の表情、築き上げた数々の思い出など魅力を再確認することができた
雨降って地固まるという展開を願い、筆をおこうと思う

4.アルノverMVを見て(2022/3/23追記)

アルノverのMVを見て、補足したいことがあるので追記する
危うさは尽きないが、現メンバー(特に1・2期生)を信頼したいと思える内容だったためである

本文ではパフォーマンス重視の危うさについて語ったが、やはり制作側はアルノちゃんを象徴として変革を起こしたいという思いを持っているようでその危うさも間違えなくある
MVを通して、主要3キャストは以下の描かれ方をしていた

  • アルノ…突っ張っている新参者。
  • 山下…今の乃木坂の中心。変革を拒む。
  • 飛鳥…山下とアルノの間を取り持とうとする。

ただ危うさだけでなく、希望も見えるMVだったように思う
ここに各期の補助線を引くと、以下の役割が期待されているように見える

  • アルノ(5期生)…変革の象徴。受け入れてもらえない。
  • 山下(3・4期生)…今の乃木坂の中心。変革を拒む。
  • 飛鳥(1・2期生)…大ベテラン。現メンバーとアルノをはじめとする新参者の間を取り持とうとする。

どのような結果になるかはわからないが、3・4期加入時とは違い5期生には変革の起爆剤になる役割を求めているようだ
これは堀ちゃんが『バレッタ』のMVの最後で白石さんを銃で撃つのと少し被る
バレッタのときはグループが大きく変わることはなかったが、その代わり1期vs2期といった構図になり2期生不遇問題につながってしまった

しかし『バレッタ』のときとは大きな違いがあると思う
MVでも描かれているが新参者と現メンバーの間を取り持つ余裕がある大ベテラン(1・2期生)の存在である
パフォーマンス面や制作側の意図など、『Actually…』にまつわる危うさを語ったら尽きることはないのかもしれない
それでも乃木坂をつくり守ってきた彼女たちを私は信じたいと思う

5.着地点~1年後から振り返る(2023年追記)

この記事を振り返って、手前味噌ながら振り切った面白い考察をしていたなと思う
一方で結果から振り返るとこの曲によってグループが壊れることも、大きく変わることもなかったように思う

その理由は一言でいうと、ライブを通じて『Actually…』が弱毒化されていったからだと思う
本論の振り返りにはなるがハイレベルなフォーメーションダンス、ひいてはそこから生じうるパフォーマンス重視の文化に、私はこの曲の危うさを感じ取っていた
初披露やシングル発売時に見られた独特の緊張感とガチガチのフォーメーションダンスからは、その方向性は見出しうるものであったと思う

しかしその後のこの曲をめぐる展開は私の想像とは全く異なる方向へ進んだ
まず10thバスラや夏のツアーを通じて、この曲のパフォーマンスがそれほど重視されなくなってきたように思う
その代わりに光や映像の演出をゴリゴリに足すことで、格好良さを引き出す方向にシフトしていた

これの功罪は非常に判断が難しい
言ってしまえばパフォーマンスレベルを誤魔化すという形なのかもしれない
(正直筆者にはダンスのセンスはないのでダンスが上手いのか下手なのかいまいち判断がつかないが、あそこまで演出足すなら下手でもバレなくねとは思う…)
一方でそれほど練習リソースを割かずに、新たな側面を見せることはできるので大変合理的だとは思うしそもそも多くの乃木坂ファンはパフォーマンスレベルをそこまで求めてないようにも思う

ただ一つ言えるのはその後も本記事で懸念していたような、パフォーマンス重視の文化は根付かなかったように見える
先述の通り『Actually…』自体がパフォーマンスレベルを求められる曲でなくなったのと、30thの『好きロック』が全く異なる系統の曲で高パフォーマンス路線が続かなかったことが要因だろう
そのため良くも悪くもこの曲による化学変化は感じなかったというのが私なりの着地点となる

完全に外れた考察なので恥ずかしいが、自戒の意味も込めて記事自体は残しておくこととする