考察:5期生はじめての単独ライブはなぜ「新・乃木坂スター誕生!LIVE」だったのか

1.序論

今回はタイトルの通り、5期生はじめての単独ライブがなぜ「新・乃木坂スター誕生!LIVE」だったのか、そしてそれがグループに与える影響について考察していきたい

今回の考察のきっかけは「新・乃木坂スター誕生!LIVE」神戸夜公演で得た感動にある
一方で6月に行われていた4期生の「乃木坂スター誕生!LIVE」も、詳細は以下の記事に譲るが今年有数の良いライブであった
しかし両者から得られた感情はかなり異なるものであった

そこで私は一つの仮説を立てた
2つのスター誕生ライブは表面上は同じだが、質的にはかなり異なるものなのではないか
そしてそれこそが5期生初のLIVEがスター誕生ライブとなった所以なのではないかと

2.本論~4期生と5期生のスター誕生ライブの比較

①前提:4期生「乃木坂スター誕生!LIVE」について

5期生の「新・乃木坂スター誕生!LIVE」について語る前に、前提として4期生の「乃木坂スター誕生!LIVE」について触れておきたい

このライブを一言で言うならば、各個人のパフォーマンスに焦点を当て盛り上がることに特化したライブであった
感情を敢えて単純な言葉にするならば「感動」など湿っぽい言葉ではなく、「高揚」など明るいイメージである
もちろんこれは4期生や先輩メンバーの経験年数でパフォーマンスや盛り上げ力が磨かれているというのがベースになっている

これ以上は長くなってしまい、かつ本題からもずれるので以下のライブ考察記事に譲り本稿からは割愛する
・考察:乃木坂スター誕生!LIVE (昼・夜公演)2022/6/26

②5期生「新・乃木坂スター誕生!LIVE」の特性

4期生の時の経験から、私はスター誕生ライブはテーマ性が強いライブではなく、パフォーマンスを楽しみ盛り上がるライブとしてとらえていた
実際に以下の横浜公演考察はひたすらパフォーマンスに焦点を当てて考察している
・考察:新・乃木坂スター誕生!LIVE (横浜公演)2022/12/5-12/6

正直なところ神戸昼公演までは楽しくて良いライブだけど、4期のときのパフォーマンスに及ばないなと言う感想だった
(活動をはじめて間もない5期生と数年間の経験値がある4期生を比較する方が無理である)
しかし神戸夜公演でようやく4期のスター誕生ライブとはそもそも質的に異なるものだと気がついた

5期生のスター誕生ライブは一言でいうと「困難に全員で立ち向かうことで、5期生が乃木坂らしくなっていく姿を映すドキュメンタリー」なのだと思う
詳細は神戸公演の記事に譲るが、純粋にパフォーマンスが注目されるうえに、同期・ひいては同じライブを半年前にやっていた先輩たちと比較されるというタフな内容であった(セトリもこのタフさを助長するようなシビアな構成だったと思う)
それを助け合い乗り越えていく姿を目撃させるという、どちらかというとテーマ性に重きを置いたライブであった
・考察:新・乃木坂スター誕生!LIVE (神戸昼夜公演)2022/12/18

3.結論~5期生はじめての単独ライブはなぜ「新・乃木坂スター誕生!LIVE」だったのか

よく考えれば、5期生単独での初めてのライブがスター誕生ライブなのは直観的にはだいぶ不思議な印象がある
しかしこのタフさこそがはじめての単独ライブとして選ばれた理由であろう
彼女たちが困難を全員で乗り越えて「乃木坂らしさ」を身につけたとファンにわかりやすく演出する必要があり、そこにかなり適した場がスター誕生ライブだったということだろう

そしてこれは「新・乃木坂スター誕生!」の番組内でも意識されていたことのように思う
わかりやすいところでいうとHuluの限定映像が4期生のときはゆるゆる未公開映像だったのに対し、5期生の際には真剣に歌に取り組む様子を映すドキュメンタリー映像となっている

それではなぜ5期生だけ「新・乃木坂スター誕生!」といういわば通過儀礼を課されることとなったのかという疑問が生まれる
実は4期生までは通過儀礼を経験しなかったのではなく、別の形で経験していたように思う
それこそがプリンシパルだろう
実際に「新・乃木坂スター誕生!」を経験している5期生がプリンシパルを行うという話はまだ出ていない

4.通過儀礼としての「新・乃木坂スター誕生!」~プリンシパルと比較して

ではこの変化はどのような意味を持っているのだろうか
終章では通過儀礼として「新・乃木坂スター誕生!」をとらえた際に、プリンシパルと比較してどのような特徴を持つのかプラス面・マイナス面の双方から考察していきたい

①メリット:目撃者の多さ

まずメリットとしては圧倒的に目撃者が増えることが挙げられる

例えば4期生が「3人のプリンシパル」を行っていたサンシャイン劇場のキャパシティは808席と記載がある
参考:座席表 | サンシャイン劇場 オフィシャルサイト

一方で「新・乃木坂スター誕生!LIVE」神戸公演が開催された神戸ワールド記念ホールのキャパシティは約8000人とされている
参考:施設概要 | 施設案内 | ワールド記念ホール(主催者様)

単純にイベント会場のキャパシティだけとっても全く規模が違うのだ
さらにスター誕生はライブ配信があったり、ライブを見られなくても番組だけ見るなど目撃人数がさらに多くなることが考えられる
5期生に乃木坂らしさが芽生えていく様子を多くの人に見てもらえるという点で、かなり大きなメリットだと思う

②メリット:番組枠の確保

副次的効果であるが、番組枠を乃木坂として囲っておくことができるのも大きい
10年以上続いている乃木坂工事中とは異なり、日テレの番組枠はまだ安定して乃木坂が持っているものとはいいがたい
そのため一度番組が途切れてしまうとほかのアイドルに枠をとられてしまうことも考えられるのではないか

①と比べると些細なことかもしれないが、一応メリットとして挙げておく

③デメリット:自己プロデュース機会の喪失

プリンシパルでは第二部に出演するために、第一部でいかにアピールし投票に繋げていくかということを考えていく必要がある
それはアイドルにとっての基本である自己プロデュース能力を高める良い機会であるように思う

ただしプリンシパルが実際に自己プロデュース力の向上につながっているかを定量的に評価することは難しい…
実際に私が思っているほど影響はないのかもしれない
それでも想像しうることではあるので一応デメリットに付け加えておく

④デメリット:演技経験の機会喪失

乃木坂はOG含め、ほかのアイドルに比べて舞台仕事が充実しているように思う
それにプリンシパルは大きく影響しているのではないか
基礎となる演技経験が積める上に、舞台関係者の目に留まることも多くなるであろう

この機会喪失は乃木坂の箱というよりは、メンバー(特にアンダー期間が長くなるメンバー)にとって結構な損失のように思う
乃木坂含むアイドルのセカンドキャリアとして最もメジャーなのが、近年だと女優であるように思う
その中でもドラマや映画に比べ、舞台は数が多いこともありパイが広いのである

プリンシパルをきっかけに、乃木坂在籍中に舞台経験を多数積んで、卒業後は舞台を中心とした女優としてはばたく…
このようなキャリアプランに当てはまるメンバーは非常に多いように思う
特にグループで残念ながらそこまでの人気がなくても、上記のおかげで卒業後食うに困らないというパターンも見てきた
その入り口をふさがれてしまうのは大変痛いように思う

そもそも早川事件があったので、今後も乃木坂新世代のメンバーに舞台仕事が潤沢にあるかは不透明であるが…
それでもセカンドキャリアの一つのセーフティーネット的に機能していたものが今回の変更で失われかねないのは無視できないデメリットのように思う

考察:乃木坂46 31stSGアンダーライブ(アンダラ)横浜公演千秋楽 2022/12/19

1.全体の感想

真冬の全国ツアーを思わせるライブだったように思う
詳細は後述するが、まずは皆さん結構な公演数お疲れ様でした
いつものようにポイントを絞って振り返っていきたい

なお今回私は配信で鑑賞、かつ横浜千秋楽以外は見られていない
そのため現地勢としては違う反応があるかもしれないが、そこは差し引いて見ていただきたい

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
後述するが結構意外なセットリストだと私は思った
ネットを見る限り評判良さそうだった

3.振り返りポイント

①真冬の全国ツアー?

冒頭で少し話していたが、真冬の全国ツアーを思わせるライブだったと思う
もちろん5都市を回ってたというのは大きいのだが、セットリストも全国ツアー寄りだったと思う
なおツアーのイメージは下記の記事を参考にしていただきたい
・考察:乃木坂46 真夏の全国ツアー(全ツ)広島公演Day1 2022/7/23


具体的には

  • セトリが「代表曲→ユニット→リミックス楽曲系→代表曲」(今回はアンダーライブなので、代表曲はアンダー曲を想定)と進行
  • 全国ツアーでよくやる曲のアレンジが結構多い。演出もアンダーライブにしては豪華。金かかってるなあと思った。
  • クリスマスなど季節感入れたコーナー。案外アンダーライブだと見ない気がする。

あたりでツアー感を強く感じた

②座長・中村麗乃について

今回は流石に4期が座長を務めると思っていたので、正直意外な人選だった
人選の理由は結局のところライブ見てもあまりピンと来なかったが、気持ちが出てて良い座長だったと思う

特にグッときたのは悪い成分のラスサビ前のソロ
もっと歌上手くなかったっけと思ったりしたが、逆に気持ちが前面に出てることが伝わり心は打たれた

③松尾美佑について

今回のアンダラでとにかく印象に残ったのがみゆちゃんだった
『満月が消えた』のバキバキダンスや『Am I Loving ?』の甘い感じも良かった
何より『Under’s Love』の女王感はエグかった
30thのときこんな感じでしたっけ…?格好良すぎるやろ

逆に決意表明のゆるさは良くも悪くもみゆちゃんらしいなあと
ほかの会場見られてないのだが、ほかのメンバーとだいぶテンション違うよね多分

いろいろアンバランスで面白くてちょっと気になるメンバーになった

④真冬の全国ツアー~真意~

ここからは人によってはよく思わない話かもしれない
できれば寛大な心で見ていただきたい

冒頭で真冬の全国ツアーと話していたのは、本編ラストのアンダー曲パート以外にアンダーライブ感がそれほどなかったというのもある
これはセトリがツアー仕立てである以上ある程度仕方ない
というより普段のアンダーライブのテンションで5都市回るのは肉体的にも精神的にも無理だろう

とはいえそれでも演出面で???と思った箇所があったのも事実だ
例えば

  • 『明日がある理由』個人的には嫌いではない歌詞だが、アンダーライブと対極とはいかなくても130°くらいは違う価値観ではないか。さらにその後に『いつかできるから今日できる』みたいなこれまた対極の歌詞をぶつけるからなお混乱した。
  • アンコール表題曲でいく?『好きロック』は歌詞がアンダーっぽい、『ごめフィン』は曲調がアンダーにもハマるとかこじつけたけど『おいシャン』だけはどうにもわからん。
  • 正直このアンダーライブの位置づけがよくわからん。まあやいなくなって初のアンダラの演出ってこれで良いのかちょっと疑問。

とはいえパフォーマンス自体は良かったし、ネットでも概ね好評なので私がずれてるだけかもしれないが…

考察:新・乃木坂スター誕生!LIVE (神戸昼夜公演)2022/12/18

1.全体の感想

4期の時や横浜公演同様、やはりスター誕生ライブはめちゃくちゃ盛り上がる良いライブだった
・考察:乃木坂スター誕生!LIVE (昼・夜公演)2022/6/26
・考察:新・乃木坂スター誕生!LIVE (横浜公演)2022/12/5-12/6

今回はそれに加えて5期生が乃木坂になっていくドキュメンタリー要素も垣間見え、個人的には大満足
いつものようにポイントを絞って振り返っていきたい

なお横浜公演との共通部分はくどくなるので割愛した
良かったら横浜公演の記事も読んでいただけると嬉しい

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
横浜公演同様第一部で『新・乃木坂スター誕生!』内でカバーした人気曲、第二部で乃木坂の曲をパフォーマンスする構成だった

概ね良かったけど、一部の見たかった曲は神戸公演でも見られなかった
さつきちゃんの『あなたに会えてよかった』は個人的な好みとして、てれぱんの『ハレ晴レユカイ』はノリノリで評判も良かったので外す理由ない気がするのだが…

3.振り返りポイント

①歌へのフォーカス

横浜公演同様の感想にはなるが第二部は基本的に普通のミニライブなので、特筆すべきは第一部だろう
やはりこのライブの一番の特徴は「個々の歌にフォーカスがあたっていたこと」だと思う
全体ライブでは難しい個々のパフォーマンスを見られたのは本当に良かったし、それぞれソロパート中心に見応えがあった
簡単に感想と、次回がもしあったらどんな曲を期待したいか挙げていきたい

  • いおちゃん…喉のコンディション悪い中『愛のうた』と『OH MY LITTLE GIRL』よく歌い切った。本人的には納得いかなかったんだろうけど、ハスキーなのも雰囲気あって悪くなかったと思う。番組でもバラードめっちゃ多いけど、そろそろ明るい曲も見てみたい。YUI『SUMMER SONG』とか似合いそうだけどどうだろう。季節感は真逆だが…。
  • てれぱん…『JOY』は完全に歌を自分のものにしていたと思う。YUKIさんのはポップな感じだけど、てれぱんが「死ぬまでドキドキしたい」というのは謎の色気があってよかった。『タイムマシンにおねがい』は流石の盛り上げ。やはりポップな曲似合うし、スカパラや星野源とか男性曲だが案外ありかも。
  • みくちゃん…『最後の雨』歌いあげる儚い姿がグッときた。語りたいことが多すぎるので、詳細は別章で後述。バラード似合うし『I’m proud』とか見たいけど、久保ちゃんと比較されるし少し酷か。あと『碧いうさぎ』とかも似合いそうだけど、これは流石に無理か…。明るい系なら大塚愛とかはイメージぴったり。
  • なぎさん…抜群に綺麗なビジュアルから放つ、くしゃっとした人懐っこい笑顔は反則級。『ただ君に晴れ』は需要しかない。周りめっちゃ沸いてたし、2020年代美人顔なので近年の曲が似合う。番組でもなぎちゃんがヨルシカとかYOASOBIとか歌えば結構バズるんじゃないかな。あと案外涙脆い…?
  • おかひな…個人的はスター誕生ライブMVPだと思う。長くなりそうなので詳細は後述。案外アイドル系も似合うと思うのだが、画面越しに映えるのはダンスナンバーか。今どき系と思われるのはおかひな的にマイナスな気もするので、安室ちゃんの『Body feel Exit』か『your my sunshine』あたり推したい。
  • あーや…『Wing』横浜公演と合わせてまさかのソロ曲三曲目!15歳にしてスペック高すぎる。ただやはり夜公演『時をかける少女』の抜群の透明感があまりにも印象的。時代が彼女に追いつくのを待ちたい。実力派なのでSPEEDの楽曲とか似合う気がする。個人的にはZARDも見たい。
  • いろはちゃん…『いつか』めっちゃ良かった。ギターできるし、歌も上手い割に癖がないので2010年代バンド系よく似合う。結構じっとりとした男性ボーカルあってたので、back numberとかいいんじゃないかな。あとこういうことやっていいのかわからないけど、Showroomとかで定期的に弾き語り配信やったら徐々に人気でてくるんじゃないかな。
  • さくたん…『BE TOGETHER 』パワフルな曲だけど、癒し系な声がなんか癖になった。アイドル楽曲がやはり似合うなとは思うのだが、本人バンド好きそうだし声質加味してチャットモンチー『シャングリラ』とかはありな気がする。
  • 小吉…『慟哭』『卒業』と流石の歌唱力。ただ歌唱力もさることながら、先日の横浜公演考察で述べたが動きがあるパフォーマンスが彼女の一番の魅力だと思う。動き多くて景気良い『暦の上ではディセンバー』とかのアイドル曲が一番活きるんじゃないかな。
  • なおちゃん…『ありがとう』『元気を出して』とも横浜公演では緊張が強かったが、いい意味で神戸では力が抜けてホカホカした優しい空気感が良く出せてたと思う。こういう系統やっぱり似合うが、もう少し明るいアイドルチックなのも見てみたいかも。広末涼子とか似合いそうなんだけど、4期であやめちゃんやってるからどうだろう。
  • アルノちゃん…『サウダージ』やはり雰囲気ある曲を歌わせたらナンバーワン。彼女の場合はハマった時のクオリティが高すぎるので、横浜公演でやってた椎名林檎楽曲とかを極めていくのが一番良い気がする。

全体としては景気が良い曲(『Ride on time』『Sunny Day Sunday』あたりを想定)はやっぱり盛り上がる
乃木坂もこういうキャッチーな曲増やしてほしい気がするな…

② スペシャルゲスト~プロアーティストの存在感

スター誕生ライブといえばスペシャルすぎるゲストが定番だが、神戸公演もすごかった
MAX姉さんの妖しい魅力を伴った、異常なまでの盛り上がりは画面越しでもエグかった
マジで現地行きたかったな…

串田アキラ大先生は説明不要のパワフルさ。全ての悩みが吹っ飛ぶレベル
御年74歳とはとても信じられない
ANNじゃないけど単純に影響されて、筋トレしようと思ったわ

あとちょっと謎構成だなと思ったのは、ゲスト明けに昼夜とも一曲やってから第二部へ移行したけど最後の一曲いる…?
ゲストでマックスに盛り上がったのだが、そのまま第一部終了とした方が流れが綺麗だと思うのだが…

③岡本姫奈について

個人的にスター誕生ライブのMVPをあげるならおかひなだったと思う

まずパフォーマンスだが、『VALENTI』の仕上げ方が半端ない
正直横浜公演で初めて見た時は曲は似合ってるなとは思ったが、ちょっとまだ板についていない感じで数年後にパフォーマンスレベルがガッツリ上がってからもう一度見たいかなという感想だった

しかしそこから成長速度がエグかった
神戸夜公演では完全に曲を自分のものとしており、歌詞で描かれている戦う顔をした強くあろうとする女がそこにいた
2週間ないくらいでここまで仕上げてきたのは恐れ入った

また曲外の振る舞い方もかなりベストに近かったと思う
具体的には

  • 『愛のうた』涙で歌えなくなるいおちゃんを優しく抱きしめる
  • MC中にオズワルドさんがM-1決勝進出と知り、誰よりも跳びはねて喜び号泣してるのに率先して報告
  • 横浜公演ではオズワルドさんの「加入後いろいろあった」というなかなかのぶっ込みも笑ってかわす
  • 神戸公演ではみくちゃんにですよ。さんのネタをぶっこむ。需要をわかってらっしゃる。
  • 何よりも人懐っこい笑顔

全体的におかひな一番の武器であるいいやつ感が出てて、めちゃくちゃ魅力的だった
加入当初に印象悪くしちゃった人でも割と見直したとかあるんじゃないかな

④芽生え始めた乃木坂らしさ

スター誕生ライブは、テーマを見出すのではなくパフォーマンスを楽しむこと中心のライブ
4期のときの経験からそう思ってた
また横浜公演を見てもなお、テーマなきライブだと思い込んでいた

しかし終わってみればきちんとテーマがあったように思う
それは「乃木坂らしさの形成」なのではないか
基本的に乃木坂のストーリーは普通の女の子が仲間と出会って困難を乗り越え強くなっていくストーリーだと考えている
その育成の場として一人一人のパフォーマンスが見られる「乃木坂スター誕生」の番組、そしてライブはうってつけだったように思う

しかもこれは結果論ではなく、多分意図されたものだと予想する
というのもhuluの限定映像で「5期生の挑戦」としてドキュメンタリー的なものが公開されているのだ
裏側を見られるようにしておくことで、よりわかりやすく5期が乃木坂になっていく様子を記録しているのだ

そしてこれは従来はプリンシパルでやっていたことのように思う
5期生にとって「乃木坂スター誕生」は、プリンシパルの代替なのではないか
(現に今まで彼女たちがプリンシパルをやる様子はない)
なおこのメリットデメリットは複雑でどちらが良いのかという議論は非常に難しい
本題からも逸れる上に長くなるので近いうちに別記事として取り上げたい

プリンシパルの代替としてスター誕生を捉えると、それなりに納得できることもある
私は横浜公演の考察記事でかなりシビアな構成だなと感想を述べていた
具体的には各メンバーのソロメドレーでほぼすべての曲がミディアムバラードなので、パフォーマンスがもろに出てしまったところに顕著に感じられる
そもそもスター誕生ライブ自体がパフォーマンスを楽しむ側面が強いので、経験年数がもろに出るのだ(4期生の時に先輩ゲストがめっちゃ目立っていたように)
入って1年に満たない5期生にとっては厳しいだろうなあと思っていたが、これはプリンシパルの代わりに彼女たちに与えられた苦難だと考えれば割と納得いく

それでは彼女たちは苦難を乗り越え、仲間を得ることができたか
私はかなり成功した方だと言って良いのではないかと思う
乃木坂らしさが垣間見えた印象的なシーンを挙げていきたい

  • のどの不調で『愛のうた』をうまく歌えなかったと涙ぐむまおちゃんにかけよるおかひな
  • やはり『Story』の「今私が笑えるのは 一緒に泣いてくれた キミがいたから」の歌詞でメンバーのところをふと見る井上和
  • アンコールでまさかのアルノの涙。そんなキャラじゃないと思ってた。
  • なおまおの『Best Friend』。多くを語るまでもなく涙すら流れた。

そしておそらく一番乃木坂らしい曲である『きっかけ』
全4公演で歌っており、横浜公演時点ではみんな歌上手いなとは思ったものの正直板についていない感じがしていた
それでもスター誕生ライブ4公演の千秋楽ではすっと歌詞が入ってきてちょっと感動した
これこそ彼女たちに乃木坂らしさが芽生え始めた何よりの証拠なのではないか

とはいえ飛鳥ちゃんも言っていたように、5期生はかなりアクの強い集団でもある
これからも彼女たちが乃木坂とどのような化学反応を起こし、5期生がどのような集団となるのか引き続き追っていきたい

⑤一ノ瀬美空について

本論は終了したが、一番荒れそうなので最後に持ってきた

テーマがあるとは言いつつも、スター誕生ライブは基本的にはパフォーマンスを楽しむライブだと思う
それでもパフォーマンスレベルとか無視して、さらに個人的な好みがガッツリ入っているとも思うが、スター誕生ライブを通じて一番心を掴まれたのはみくちゃんだった

お披露目動画から可愛いなと思っていたし、スター誕生の番組でもおちゃらけた姿は面白く気になってはいた
もちろん4公演通じてひょうきんな側面は随所に現れていたのだが、ライブでは全く別の側面が見えた

この子のパフォーマンス、めちゃ儚い雰囲気を感じるのだ
うるうるしながら歌っていた横浜公演『プラネタリウム』や神戸夜公演の『最後の雨』での涙を見ると引き込まれるし応援でパワー送りたくなった

私は乃木坂センターに一番必要な要素は、支えたくなる感じだと思っている
そしてこれを今一番持っているのはみくちゃんだと思う
よくさゆりんごさんや真夏さんの再来として捉えられることが多い彼女だが、それだけでなく彼女は西野七瀬にもなれる逸材だと思う

そこで、、だ。。
この子がネタキャラに染まり切る前に一度センターやらせた方がいいと思う
(もちろんスペック高い子なのでネタキャラもできるだろうけど、もったいない気もする。)

なんなら32ndシングルセンターでもいいくらいだと思う
流石にここまで言い切ると反対多数だと思うが、少しでも要素を汲んでくれると嬉しい。

それでも個人的には彼女にセンター性を見出せたことが今ライブの最大の収穫と言わざるを得ない
そのくらい彼女に魅せられたのは私だけだろうか

2022/12/11 Erika Ikuta(生田絵梨花) 2022 winter fun 横浜夜公演

1.全体の感想

乃木坂と直接は関係ないが、いくちゃんのソロコンサートを見てみた
イベントの性質上考察と銘打つほどの記事にはならないが、卒メンイベントのレポートはそう多くないので書き残しておきたい

内容としてはいくちゃんがバンドメンバーを従えて、冬の名曲を中心にひとりで歌い上げるというものだった
乃木坂ファンの皆さんであれば、神イベントであったことは言うまでもなくわかってもらえるだろう

2.セットリスト

M01:竹内まりや『すてきなホリデイ』
M02:Mariah Carey『All I Want For Christmas Is You』
M03:SEKAI NO OWARI『スターライトパレード』
M04:Aimer 『everlasting snow』
M05:藤井風『何なんw』
M06:Vaundy『踊り子』
M07:スガシカオ『夜空ノムコウ』
M08:Aimer 『六等星の夜』
M09:TOM CAT『ふられ気分でRock’n Roll』
M10:木村カエラ『A winter fairy is melting a snowman』
M11:広瀬香美『ロマンスの神様』
M12:桑田佳祐『白い恋人達』
M13:BoA『メリクリ』
アンコール
M14:ヒポポ(cv:生田絵梨花)『自信満々よ』
M15:中島みゆき『銀の龍の背に乗って』
M16:『We Wish You A Merry Christmas 』

あとTwitter見る限り、現地ではいくちゃんオリジナル曲を最後に2曲やってたっぽい
チケット当たらなかったの残念過ぎるな…

3.振り返りポイント

①「音楽」ということ

「音を楽しむのが音楽」
私が小学校の音楽教師に言われたことである

そういった意味で誰よりも「音楽」していたのは生田絵梨花だと思う
『メリクリ』『銀の龍の背に乗って』辺りは安定の歌唱力だし、『A winter fairy is melting a snowman』では異常なレベルでタオルぶん回させ、『何なんw』では忙しい中ピアノ弾き語りまで仕上げてくる…
しかもMCで話すにはまたバイオリンの課題をやってるんだってよ

ちょうど一年前の卒コン記事でも書いていたことだが、ハードワークだろうに微塵も見せず楽しんでるところが好きなのよ
・2021/12/14 乃木坂46 生田絵梨花卒業コンサートDay1
・2021/12/15 乃木坂46 生田絵梨花卒業コンサートDay2

②新・乃木坂スター誕生!LIVEとの比較

ちょうど同時期に乃木坂5期生がほかのアーティストの曲を歌う『新・乃木坂スター誕生!LIVE』が行われている
かなり酷だとは思うが、やはりどうしてもいくちゃんと5期生のパフォーマンスを比較してしまう自分がいた

もちろん5期生にはフレッシュさゆえの成長物語や第二部の乃木坂曲のパフォーマンスという武器はある
しかしこのライブを見ると、曲のパフォーマンスに焦点を当てるという構成自体は本来ベテラン向きなんだなあと思ってしまった

こう考えると経験積んだ3期生を中心としたスター誕生ライブが見てみたい気がする
夏のツアーの1コーナーだけでもやれば盛り上がると思うんだけどなあ

なお以下の考察記事でも詳細しているように、5期生のスター誕生ライブ自体は盛り上がった良いライブであったことは補足しておく
(というか4期生も含めて、スター誕生ライブは今年有数の良ライブだったと思う)
・考察:新・乃木坂スター誕生!LIVE (横浜公演)2022/12/5-12/6

考察:新・乃木坂スター誕生!LIVE (横浜公演)2022/12/5-12/6

1.全体の感想

以下記事の4期生の時同様、やはりスター誕生ライブはめちゃくちゃ盛り上がる良いライブだった
・考察:乃木坂スター誕生!LIVE (昼・夜公演)2022/6/26
今回は番組企画ということで考察要素少なめではあるが、2日間通じて気になったポイントを振り返っていきたい

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
両日公演とも第一部で『新・乃木坂スター誕生!』内でカバーした人気曲、第二部で乃木坂の曲をパフォーマンスする構成だった

個人的には第一部でオズワルドの二人がいる横浜初日で『君に幸あれ』、神戸初日に回るであろう『Ride on time』(Maxの方)、花屋の店員さんをイメージした(?)『あなたに会えてよかった』、てれぱんがノリノリで歌う『ハレ晴レユカイ』とかも見たかったな

3.振り返りポイント

①歌にフォーカスが当たったライブ

第二部は基本的に普通のミニライブなので特筆すべきは第一部だろう
やはりこのライブの一番の特徴は「個々の歌にフォーカスがあたっていたこと」だと思う
全体ライブでは難しい個々のパフォーマンスを見られたのは本当に良かったし、それぞれソロパート中心に見応えがあった

  • いおちゃん…『糸』『飛行機雲』とバラードを堂々と歌い上げる姿は透明感の塊だった。
  • てれぱん…『タイムマシンにおねがい』『ルージュの伝言』と独特の存在感は流石。癖になる。
  • みくちゃん…『プラネタリウム』頑張った。ネタキャラになりつつあるけど、パフォーマンス見ると思わず支えたくなるしセンターになりうる素質も十分だと思う。
  • なぎさん…スーパースター。言うまでもなく素晴らしかった。詳細は別章で後述。
  • おかひな…『世界中の誰よりきっと』で見せた人懐っこい笑顔はアイドルとしての素質を感じた。『VALENTI』も似合っていたし、格好良かった。経験を積んだ数年後にもう一度見たい気がする。
  • あーや…ほかメンバーに隠れがちだけど、想像以上にダンスも歌も実力派。『時をかける少女』で見せた抜群の透明感に惚れた。『真夜中のドア〜stay with me』で見せた大人っぽい表情にはドキッとすらした。5年後に乃木坂のセンターになって天下を取ってほしい。
  • いろはちゃん…『純愛ラプソディ』で見せた力強い歌声と優しい表情は魅力的。
  • さくたん…『赤いスイートピー』もそうなんだけど、特に第二部で存在感があった。詳細は別章で後述。
  • 小吉…『慟哭』の力強さは期待以上。彼女も第二部で存在感があったと思う。詳細は別章で後述。
  • なおちゃん…『ありがとう』涙浮かべつつもよく歌い切った。二日目の『元気を出して』では涙なく成長を感じた。
  • アルノちゃん…『ここでキスして。』『First Love』など雰囲気ある曲を歌わせたらやっぱりナンバーワン。

また乃木坂には多くない、馬鹿みたいに景気が良い曲(『EZ DO DANCE』『Sunny Day Sunday』あたりを想定)ができるのはこのライブの強みだと思う
特に『お願いマッスル』は思わず声を出したくなってしまうほどだった
コールが解禁されていればなあ…

②スペシャルゲスト~プロアーティストの存在感

スター誕生ライブといえばスペシャルすぎるゲストが定番だが、今回もすごかった。
YU-KIさんが歌う楽曲はとにかく力強くて、やはり『EZ DO DANCE』の盛り上がり方は群を抜いていたように思う。
アリーナの熱狂が感じられ、スター誕生ライブはやはり生で見るのが最高だと思った。

2日目は残念ながら生では見られなかったが、一流のアカペラが聴けるのは本当に羨ましい。
画面越しでも楽器なしの張り詰めた空気とそれを包み込むようなあたたかな歌声は感じられた。

③シビアな構成

一方でよく見るとシビアな構成にも思えた
先述の通りこのライブはパフォーマンスに焦点を当てたライブである
そのため4期生のスター誕生ライブの際にも特に先輩メンバーが目立っていたように、経験がかなりものをいうライブだと思う

それゆえに大前提として経験の少ない5期生にはかなり厳しいライブだったと思う
それでもこんなに満足感あるライブに仕立て上げた5期生は流石なのだが、ややメンバー間のパフォーマンスに差が見られたように思う
しかも各メンバーのソロメドレーでほぼすべての曲がミディアムバラードなので、パフォーマンスがもろに出てしまったのではないか
(緩急をつけることができたのは『ルージュの伝言』と2日目の『VALENTI』か。しかもその2曲連続してたという…。特に小吉だから何とか乗り切れたものの、圧倒的存在感のアルノの後は本当にやりにくいと思う。)
4期生の時には『ラムのラブソング』など盛り上がる曲もあったと思うので、もう少しバラエティに富んだ構成とした方が、優しい構成だったんじゃないかな

④井上和について

見る前から素晴らしいのは分かっていたことではあるが、井上和のパフォーマンスは思っていた以上に素晴らしかった
歌がうまいのはもちろんなのだが、本格派の『残酷な天使のテーゼ』からネタ曲『お願いマッスル』まで表情の一つ一つが完成されているのだ

しかもただうまいのではなく垣間見える人柄も本当に素敵だと思う
2日目の『Sunny Day Sunday』で歌詞が飛んだので一瞬涙目になったものの、健気に立て直す姿は全ファンが応援したくなったのではないか
そしてそこから立て直して明るい曲をやり切り、曲終わりに照れ隠しでクシャっと笑うリバウンドメンタリティはアイドル一年目とは思えない
さらに鳥肌ものだったのが1日目の『Story』
「今私が笑えるのは 一緒に泣いてくれた キミがいたから」の歌詞でメンバのところをふと見たのはアツかった

この人に乃木坂を引っ張っていってもらいたい、この人がいれば乃木坂もまだまだ天下をとれるのではないか、そんなことすら感じさせるパフォーマンスだった

⑤川﨑桜と菅原咲月~「静」と「動」のパフォーマンス

第二部のパフォーマンスで特に印象的だったのがこの二人である
しかし川﨑桜と菅原咲月のパフォーマンスは実に対照的だと思う

『17分間』のパフォーマンスを見て思ったのだが、さくたんの周りだけなぜか時間軸が歪んだかのようにゆっくり見えるときがあるのだ
その瞬間のさくたんの表情は一晩明けても脳裏に焼き付いている
この特殊能力はメリットデメリットとも大きいが、一列目のセンターであれば一人ゆっくりにみえても違和感がない
そういう意味で彼女は本当にセンター向きだと思う

このさくたんのパフォーマンスを「静」のパフォーマンスとするのであれば、さっちゃんのパフォーマンスは「動」のパフォーマンスだろう
『乃木坂工事中』の内輪ウケものまね大賞でもおかひなに頭の動きを真似されていたが、一つ一つの動きがうるさいのだ(もちろんいい意味で)
こういうメンバーはセンターにたつのもそれはそれでよいが、端から見切れるのがとても印象に残る
(ほかメンバーでいうと、りりあとかも似たタイプ)
さっちゃんのファンの人は望まないかもしれないけど、こういった二列目のセンターから少し外れたあたりにいるとカメラに見切れることも多くてとっても魅力的に見えると思うんだよな

⑥物販について

唯一不満が残ったのが物販である
具体的にはメンバー個別のマフラータオルがあったほうが良かったように思う
5期生のみのライブは初なんだから個別タオル持っている人は多くないだろうし、僕含めあったら買っていた人は多いのではないか

あんなにタオルを掲げる人が少ない『裸足でSummer』は初めて見たよ…
ちょっとメンバーが見ても酷だろうなあと思ったし、そういった意味でも物販にあったほうが良かったかと

⑦5期生とアラサー・アラフォー世代

意図的か偶然かわからないが、5期生はアラサー・アラフォー世代にかなりハマる売り方をしているように思う

4期生が出ていた『乃木坂スター誕生!』はもともと歌謡曲を中心に据えた構成だった
後半にはやや最近の楽曲を取り上げることもあったが、平成より昭和の楽曲が多かったように思う
一方で『新・乃木坂スター誕生!』では平成の楽曲が、2000年代の楽曲も少なくなかった
アラフォーはずばり世代であり、アラサー世代にも耳なじみがある楽曲が多く番組に取り上げられていたのである
実際に初日ライブ会場で隣の席のアラフォーとおぼしきおじさんが、自分の世代の楽曲だからかかなり盛り上がっていた

また5期生楽曲は『バンドエイドを剝がすような別れ方』や『17分間』など、今までの乃木坂にはない曲調の楽曲となっている
というか2010年ごろのAKB48の楽曲にかなりに近いと思う
『17分間』なんて曲調や歌詞にあの頃の懐かしさを思い出して、思わずコールではなくミックスを打ちたい気分になったくらいだ

もし偶然テレビをつけたら自分たちの世代の曲が歌われていて、そのアイドルの曲を調べたらかつてハマったアイドルに似たキラキラ感のある楽曲を歌っていたら…
かつてAKBにはまった人たちが5期生にはまっていくストーリーが描けるのだ

まだ意図的と判断するには早いが、アラサー・アラフォーに向けた売り出しがかなりうまくいっているように思う
もし本格的にAKB的キラキラアイドル路線を売りの一つにするとしたら、賛否両論を生みそうだが個人的にはありだと思う
乃木坂正当路線を継承した3期・ポップさやカオスさを前面に押し出した4期と明確に差別化できるし、ちょうどAKBがかなりごたついている時期なので離れた人の受け皿にもなるだろう

何より個人的にはAKBやモー娘全盛期の楽曲が「アイドルってこういうものだよね」と体に染みついているのだ
これはきっと私がアラサー世代だからに違いないのだが、同じ感性の人も少なくないのではないだろうか
(より若い世代がこれをどう判断するかがわからないが…)

『17分間』を聴いて、久々にアイドルのキラキラ感を思い出した

考察:乃木坂46の曲の価値を考える~僕たちはなぜ『アナスターシャ』で泣くのか

1.はじめに~乃木坂スター誕生ライブでの感動と疑問

5期生のスター誕生ライブが開かれるということで改めて思い出したが、4期生のスター誕生ライブは本当に良い時間だった
音楽にスポットを当てたからこその上質なパフォーマンス、先輩メンバーや大物ゲストのド迫力…
開催から数か月たった今でも鮮明に思い出せる、本当に良ライブであった
詳細については以下の記事をご覧ください
・考察:乃木坂スター誕生!LIVE (昼・夜公演)2022/6/26

一方でいわば「借り物」の曲でここまで盛り上げることができるのであれば、乃木坂の曲の価値って何なんだろうと思った
例えばスター誕生ライブで弓木ちゃんが歌っていた『EZ DO DANCE』よりぶちあがる曲が、乃木坂46のライブにはいくつあるのだろうか?
正直『ガールズルール』くらいしか確信をもって答えられない自分がいた…

それでもぶち上げることのみが曲の価値ではない
『きっかけ』『思い出ファースト』など、感動を誘う曲は乃木坂にも少なくない
なかでも二期生推しの私としては『アナスターシャ』が流れると思わず泣いてしまうほどである
今回はこの『アナスターシャ』を題材に、なぜ乃木坂の曲で私たちは感動するのかを考察していきたい

2.本論~僕たちはなぜ『アナスターシャ』で泣くのか

①歌詞について

曲で感動させる要素として、真っ先に多くの人は歌詞を思い浮かべるのではないか
きっと多くの人は一度くらい歌詞に救われたことがあるだろう
例えば私もMr.Childrenの『終わりなき旅』の歌詞に高校時代心が折れそうになる度に救われた

それでは『アナスターシャ』の歌詞はどうか
正直言うと私はアナスターシャの歌詞がわからないのである

理解しようとは人並以上にしたと思う
もしかしたら背景になっているのかと思ったので、ディズニー映画『アナスタシア』を見た
教養が足らないのかと思ったので、ロシア皇女アナスタシアについても勉強した
『アナスターシャ』の歌詞考察も複数読んで、歌詞のどの要素が何を暗示しているのかなど考えた
それでも結局のところ、しっくりとくる理解はついぞ見られなかった

ここにいたって『アナスターシャ』の歌詞は実はほとんど感動に寄与していないのではないかと考えを改めた
すんなり入ってこない歌詞に涙腺が緩むのはそもそも考えにくい
そして『アナスターシャ』はかなり歌詞が難解なので典型的だが、実はほかの乃木坂の曲も同じなのではないか
例えば『きっかけ』の歌詞を本当のところどれだけのファンが消化しきれているだろうか
いいこと言っている風なことはわかるのだが、本当にその真髄を理解しているかと言われると私は自信がない
『思い出ファースト』の歌詞も改めて考えると恋愛に終始している
こう考えると少なくとも乃木坂については、歌詞が感動を呼んでいることは実は稀なのではないか

②曲調について

歌詞以外の要素としては曲調というものが考えられる
『アナスターシャ』『きっかけ』『思い出ファースト』、いずれもあまりにもエモい曲調ではあるので少なからず寄与しているだろう

とはいえこれも本筋ではないのではなかろうか
例えば僕たちは『ガールズルール』で泣いたことは本当にないだろうか?『インフルエンサー』では?
少なくとも私はたまにこれらの超がつくほどのアップテンポ曲で泣きそうになるときがある
したがって曲調も感動に寄与する側面はあるものの、感動の本質ではないと考えるのが自然ではないだろうか

③「景色」と「思い入れ」

こう考えると実は曲の構成要素の中には感動の主要素はないのではないか
それではこれらの曲の何が私たちを感動させるのか

ここで一つ示唆的な話をしたい
私は『アナスターシャ』がこの上なく泣ける曲だと思っている
ただしこれは1期生しかほとんど知らない友人にこれを言ってもほとんど要領を得ない
つまり人によって聴いた感覚がかなり違うのである

この差はずばり見てきた「景色」であり、ハイコンテクストな文脈の中で醸成された「思い入れ」なのではないか
確かに『アナスターシャ』を聴いたときに僕が想像するのは、歌詞にあるまだ見ぬロシアの地や異国の王女様ではない
むしろ擦り切れるほど見た伊藤衆人監督の思い入れに溢れたMVであり、2期生ライブで先輩に同期に後輩に見送られるドレス姿の推しメンであり、苦難の日々を乗り越え確かな芯の強さを手に入れた二期生の感情のこもったパフォーマンスである
これは2期生の歴史を見てきた人にしか決してわからない感情だろう
(完全に余談だが、アナスターシャMVの考察はこちらの記事が素晴らしい。私の記事ですらないが、初めてこの記事を読んだとMVのストーリーの理解がぐっと深まり改めて感動したので是非。)

また前項までの歌詞や曲調すらも、「景色」や「思い入れ」とリンクする
海外の王女というテーマは謎めいたイメージが強いセンター堀未央奈のイメージにぴったりだし、ロシアはこの曲が最後の参加となる佐々木琴子が好きだった国である
また『アナスターシャ』までの2期生曲は、『かき氷の片想い』『ライブ神』『スカウトマン』と少々エキセントリックでマニアックな印象を受ける曲が多かった
そのフラストレーションを一気に解消するかのような、ザ・王道の爽やかな曲調は多くの2期生ファンが待ちわびていたものであった

それ故に、歌詞の意味すらわからない『アナスターシャ』で僕らは泣くのだ

④最高傑作としての『他人のそら似』

『アナスターシャ』は典型例だが、この「景色」や「思い入れ」こそが魅力であるというのはなにも『アナスターシャ』に限ったことではない
むしろ乃木坂の曲の真価はここにあるといっても過言ではない

正直なところスター誕生ライブで歌った数々のカバー曲の方がライブで盛り上がることはあるかもしれない
まして乃木坂のことをなにも知らない人にとっては、それらの楽曲の方が感動するのではないか

それでも東京ドームでダブルアンコールの『きっかけ』を仲間に囲まれながら歌う万理華ちゃんやひめたんが目に焼き付いていれば、
『思い出ファースト』のセンターは桃子卒業後も空けておくと3期生が言ったことを知っていれば、
『サヨナラの意味』が流れる中後ろ手にピースして天井に消えた伝説を目撃していれば、
これらの曲をふと耳にしたとき涙がこぼれそうになるのではないか

そしてこのハイコンテクストな文脈が分かったうえで、個人的に最高傑作とも思っているのが『他人のそら似』である
エモすぎる曲調はもちろん、この曲にはいろいろな体験を得て各自が醸成していく「景色」や「思い入れ」が最初から詰まっていたのである
ダンスで言えば過去シングルの印象的な振り付けを取り入れているため当時の「景色」を思い出させるし、卒業メンバーがセンターの場合はその子と関係が深いメンバーがセンターにいたりするのも当時を目撃してきた僕らの「思い入れ」を引き出す
歌詞にしても『僕のこと、知ってる?』を想起させる歌詞やラストを「君は君だよ」というフレーズで締めるのは、僕らが好きだった乃木坂の世界を表しているようであった
なおこの曲の魅力の詳細については、以下の記事に詳細は譲る
・2021/08/21 真夏の全国ツアー2021 福岡公演Day1

3.傍論~4期生の受難

本論は以上なのだが、上記乃木坂の曲の真価を「景色」と「思い入れ」とした場合4期生には困難が待ち受けているのではないかと考えている

4期生の代表曲を挙げていくと『I see…』『Out of the blue』『ジャンピングジョーカーフラッシュ』ととにかく盛り上がりを優先した曲が多い
個人的にも良く聞く曲だし、ライブでは盛り上がるしそれぞれ当たり曲だとも思う

それでも例えばかっきーやあやめんが卒業する時、これらの曲で私たちは泣けるだろうか?
2期生なら『アナスターシャ』、3期生なら『思い出ファースト』のようにこれらの曲で感動できるだろうか?
そう考えると「はい」と即答できない自分がいる
これらの景気が良い曲は、乃木坂の曲の真価である「思い入れ」の上積みが難しいんじゃないかと思う
そういった意味でそろそろ乃木坂らしいエモい曲を入れていかないといけないのではないだろうか

そもそもでいえば乃木坂の文脈を知らなくてものれちゃう『I see…』『Out of the blue』『ジャンピングジョーカーフラッシュ』あたりは本来は表題曲になるべきなのではないだろうか
これらの景気が良い曲でライトファンを集めて、乃木坂らしい期別楽曲で沼に落とすというのが本来の形のような気がするのだが…

4.終わりに~31stシングル『ここにはないもの』初披露に寄せて

以上のようにメンバーとファンが見てきた「景色」重ねてきた「思い入れ」こそが乃木坂の曲の真価なのだと思う
一方で乃木坂の楽曲には盛り上がりには欠ける側面があり、景気が良い曲をよそから借りてきてバカ騒ぎするライブの楽しさを知れたという点でスター誕生ライブは本当に楽しくまた示唆的なライブであった

最後に先日乃木坂配信中で初披露された『ここにはないもの』に触れてこの記事を締めたい
一回しか聞けてないので詳細までは考察できていないのだが、この曲は『他人のそら似』に匹敵するレベルの傑作かもしれない

うろ覚えだしおそらく抜けもあるのだが、この曲には過去の楽曲を思わせる歌詞を散りばめていたはずだ
しかも乃木坂との別れを感じさせる形で…

  • カーテンはぐるぐる巻かれるものではなく、閉じるもの(『ぐるぐるカーテン』オマージュ?)
  • 裸足で未来へ向けて歩き出す(『裸足でSummer』オマージュ?)
  • 手を離すことを促す(『最後のTight Hug』で繋いだ手を離したことを後悔したのに…)
  • 青空は見えても広さここからはわからない(『何度目の青空か?』オマージュ?)
  • そばにあるしあわせより遠くのしあわせを掴もうとする(『しあわせの保護色』と対極)

不十分な気もする(特に『サヨナラの意味』オマージュの箇所とかもあるんじゃないかなという気はしている)が、これを歌われると飛鳥ちゃんが卒業するんだと一層実感がこもってしまう…

また何よりも『ここにはないもの』というタイトルがすごい
乃木坂で全てを見てきた大エース・齋藤飛鳥にしか似合わないタイトルだとすら思う

MVが公開されたら再度聴きこんで考察を深めるたいと思う
そしてこの曲に素敵な「景色」や数々の「思い入れ」を積めることを祈って、筆を置きたい

考察:乃木坂46 樋口日奈卒業セレモニー(卒コン) 2022/10/31

0.はじめに

まずはひなちま卒業おめでとう!
ひなちまの暖かさに、メンバーはもちろん僕たちファンもどんなに助けられたことか
きっと女優として羽ばたいてくれることを願っています

1.全体の感想

「それってちまの優しさじゃん」
『やさしさとは』の後のMCの飛鳥ちゃんの言葉だが、まさにこのライブを表した言葉だと思う

全体を通して衝撃こそなかったが、ひなちまの暖かさに溢れた本当によい卒コンだった
いつものようにポイントを絞って振り返っていきたい

2.セットリスト

こちらサイトをご参照ください
ひなちまが乃木坂で歩んできた歴史を曲とともに振り返ることができる、王道卒コンという構成だった

選曲もひなちまセンターの『My rule』『シークレットグラフィティ』やたまちゃんと歌う『口ほどにもないKISS』をはじめ、ファンの見たいものをよくわかってる流石は11年戦士だなあと感じた

3.振り返りポイント

①優しさに溢れた卒コン

誰もが感じたと思うが、ひなちまをはじめメンバーの優しさが溢れた暖かい卒コンだった
特に印象的だったのはやはり冒頭でも触れた『やさしさとは』終わりのMCだろう

ひなちま「この曲を聴くと自分が勉強との両立で辛かった時に、いろんな形で優しくしてくれたメンバーを思い出す。」
飛鳥「当時は私は甘ったれで優しさを渡すことはできなかったから…。」
ひなちま「それは涙の訳を聞かない優しさだよ。」
飛鳥「それも受け取ってくれるんだ…。それってちまの優しさじゃん。」

この2人のやり取りを見てる真夏さんや絢音ちゃん含めて本当に優しさに溢れていた
他にも同期でない絢音ちゃんを含めた1•2期を「同志」と表現したところも、ひなちまの優しさを感じられて素敵な表現だなと思った

②継続は力なり

優しさとともに、ひなちまが腐らずに努力し続けたことも忘れてはならない
セットリストの最初の方にアンダー曲が並ぶように、ひなちまの乃木坂人生は決して華々しいスタートではなかった
しかも初選抜の『気づいたら片想い』も本人が触れていたようにアンダーメンバーから交代で選抜に一回入っていた時期であり、選抜メンバーとの差も感じて悔しい思いをしたとのことだった

そのひなちまがこんなに素敵なセレモニーを行えるなんて、きっと当時の僕は信じられなかっただろう
万年アンダーから腐らずに精進を続け、まずは代打の切り札となり、そして選抜メンバーまで駆け上がったひなちまに最大級の賛辞を贈りたい

③『孤独兄弟』

まあやとの『孤独兄弟』は今日のベストパフォーマンスだろう

アンダー生活が長い中戦友のようになった2人が最後のパフォーマンスとして選んだのは、一期お姉さんメンバーの戦友コンビが歌い上げたこの曲だったのは涙腺に訴えるものがあった

本家はクールな印象が強いこの曲だが、最後手を繋いで笑顔だったのも彼女たちらしくてよかったと思う

④みかん大作戦

乃木中のバレンタイン企画で4期生からチョコをもらうため実行したみかん大作戦
ロビー活動としては正直全く効果のないこの作戦だったが、アンコールでこの作戦をオマージュしてメンバーみんながみかんにメッセージや絵を描いていた
ひなちまの報われなかった思いが本当に素敵な形で昇華した、良演出だったと思う

⑤乃木坂っていいとこだな

まあやの卒コンでも思ったことだが、乃木坂って本当に良いところだなと思った
考察:乃木坂46 30thSGアンダーライブ(アンダラ)大阪公演Day3 2022/10/5

「やさしさとは」後のMCでも触れていたように、年少メンバーであったひなちまはお姉さんメンバーたちを中心とした乃木坂の優しさに触れて育った
勉強にお仕事にいっぱいいっぱいになってしまったひなちまに、かけよってきてくれたり水を持ってきてくれたり後からメールで連絡をくれたりなどお姉さんメンバーたちは色々な優しさで接してくれたようである

またアンコール後のMCでひなちまは「みんなが優しいから優しくなれた」といった
どこかで聞いたことがある発言だなと思ったのだが、実はこれみなみちゃんが卒コンで全く同じことを言っていたのだ
2022/2/12 乃木坂46 星野みなみ卒業セレモニー

年少メンバーが共通して言っていることに、大きな意味があるように感じる
乃木坂が育てたひなちまが、こんなにも優しさに溢れた人となりこんなにも暖かいラストを迎えるとは…
改めてこんな人が育つ乃木坂って本当に良いところだなと思った

考察:乃木坂46 ドキュメンタリー映画第2弾 『いつのまにか、ここにいる』

0.はじめに

普段は乃木坂のライブ演出考察を専門としている本サイトであるが、まれにアイドルドキュメンタリーの考察も行っている
今回は2019年7月に公開された、乃木坂のドキュメンタリー2作品目『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』見返したので考察していきたい

そして本作は2022年10月現在アマプラの見放題に入っているので、まだの人はこちらから是非見ていただきたい
後述するがメンバー、特に飛鳥ちゃんの魅力が分かりやすく伝わるので飛鳥ちゃん推しの人には特におすすめする
※以下、多少のネタバレを含みます

1.全体感

全体感としてはほかのアイドルドキュメンタリーと比べて、かなりテーマが複雑で見えにくいという印象がある
アイドルドキュメンタリーの定番といえば、メンバーの成長を描くものだろう
例えば以下の記事で考察した、先日まで公開されていた日向坂のドキュメンタリー『希望と絶望』はその色が濃い
・考察:日向坂46 ドキュメンタリー映画第2弾 『希望と絶望~その涙を誰も知らない』

ただこの映画冒頭でも触れられていたが、すでにトップアイドルになっている乃木坂46(時期的には2018年秋〜2019年春あたり)を題材としているのでそんなに単純なテーマにはできない
テーマが複雑に絡み合う中、私が強く感じたのは「トップアイドルの苦悩」「齋藤飛鳥の魅力」の2つであった
この点について深く考察していきたい

2.トップアイドルの苦悩①〜乃木坂46の自分と等身大の自分

トップアイドルの苦悩はいくつかの小項目に分類されるように思う
今回はその中でも強く感じた「乃木坂46の自分と等身大の自分」と「卒業」という項目を取り上げたい

一つ目として「乃木坂46の自分と等身大の自分」といつ項目を考察していく
さらに複雑なのはメンバーが多く世代がバラバラならグループゆえ、この項目への反応も一律ではない

まず分かりやすいのは3期・4期の描かれ方である
彼女たち若い世代は「乃木坂の自分」と「等身大の自分」が一致した存在として描かれている
「素のじぶんでアイドルをしていると語る」桃子ちゃんの発言や、一つのミスで自らを全否定してしまうせいらちゃんが具体例である
ドキュメンタリーにもあったが、存在ごとぶつかっていけばズタズタに傷ついてしまうという意味で苦悩は大きい

一方で1期生は少し異なる描かれ方をしていた
どちらかというと「乃木坂の自分」と「等身大の自分」を切り離して考えているようだった
印象的だったのは乃木坂として見られている自分を俯瞰的に語るなあちゃんや、過去の自分をさも他人事のように話す飛鳥ちゃんであった
このメンタリティであれば、仮に「乃木坂の自分」を否定されていても「等身大の自分」とは異なるものとしてメタ認知しているのでズタズタに傷つくことはないだろう

ただ彼女たちは苦悩と無縁かと言われるとそうではなく、「乃木坂の自分」と「等身大の自分」の捻じれに起因する歪みの影響を受けていた
例えばなあちゃんは常に乃木坂の自分として見られていると語り、それ以外の自分は何もないとまで語っていた
飛鳥ちゃんは乃木坂の自分がおさまったキャラクターが好きではないと語っていた
全否定した過去の自分と対面を果たす成人式参加は、等身大の自分との擦り合わせをしようとしていたのではないか
おそらくこの歪みとその向き合い方こそがこの映画の主題であろう
エンディングテーマである『僕のこと、知ってる?』の歌詞ともこのテーマは共通しているように思う

ではこの歪みの解決策はあるのだろうか?
当時は明確には気づかなかったか、今の僕は答えに近いものを見たことがある
それは『僕のこと、知ってる?』と共通テーマを歌った『他人のそら似』の歌詞の中で描かれているように思う
本当の自分や相手が誰かわからなくても「君は君だよ」と認めあえたら…
問題が全解決したわけではなくても、ずっと気持ちが軽くなるのではないか

3.トップアイドルの苦悩②〜卒業

この時期はメンバーの卒業が相次いだ時期でもあり、卒業も苦悩の一つとして描かれていたように思う
これも卒業する側と見送る側で少し見える景色が違う

卒業する側の難しさはなあちゃんの卒業を通じて詳しく書かれていたように思う
先述の通りなあちゃんは乃木坂としての自分がいつからか全てであったように語っていた
そのねじれを解消するのが卒業という選択だったのかもしれない
実際にドキュメンタリーでは自分の脚で立ちたいと願うことが卒業なのではと描かれている

一方で見送る側の心情も単なる寂しさを超えたものがあると感じている
ドキュメンタリーの一章で描かれた「仲の良さ」、それは乃木坂で活動するメンバーのモチベーションの大きな部分を占めていた
例えばれいかちゃんが「(在籍している理由は)思い出がほとんど」、いくちゃんが「メンバーの待っているよという言葉が全て」と語るように、仲が良いメンバーと苦楽をともにできるというのがこの時期の一期生のモチベーションの大部分を占めていた

そしてここは「等身大の自分」問題とリンクしているように私には見える
「等身大の自分」がわからなくても「君は君だよ」と認め合える存在が、もし遠くへ行ってしまったら…
それ故にメンバーの卒業は寂しさというレベルではなく、苦悩に近いレベルのものだったのかもしれない

4.齋藤飛鳥について

この映画の主人公は誰か?
なあちゃんにもスポットは当たっていたが、誰か1人を選ぶならこのドキュメンタリーで存分に魅力を描かれていた飛鳥ちゃんだろう

それではここで言う飛鳥ちゃんの魅力とは何か?
一言でいうとそつなくこなしてるふうに見えるが、裏では不器用で優しいところだろう

  • 成人式のシーンに代表されるように、決別したはずの過去の自分を割り切ることができず、もう一度向き合おうとする不器用なところ
  • 懐いてくる桃子をはじめ、メンバーに対して素直になれないところ

ちなみにこのときの桃子への素直な思いは下記ライブで詳しく述べられている
・2021/08/22 真夏の全国ツアー2021 福岡公演Day2~大園桃子卒業セレモニー

クールに乃木坂を引っ張る飛鳥ちゃんも好きだけど、深いところで優しくてちょっと不器用な飛鳥ちゃんだからファンは支えたいと思うのだ

そして飛鳥ちゃんの魅力を存分に詰め込んだ描き方はらかなり意図されたものなのではないか
背景的にも長年エースとして引っ張ってきたなぁちゃんが卒業し、飛鳥ちゃんを中心として固め直す必要がある時期であった
(実際この時期に発売された『Sing Out!』でも飛鳥ちゃんはセンターを務めている)
そしてドキュメンタリー冒頭とラストに差し込まれた「飛鳥」をイメージさせる飛び回る鳥の映像が何よりの証拠だろう

このドキュメンタリーを見て、改めて飛鳥ちゃんが乃木坂のエースでいてくれてよかったと思った

考察:乃木坂46 30thSGアンダーライブ(アンダラ)大阪公演Day3 2022/10/5

1.全体の感想

「金を残すは三流、仕事を残すは二流、人を残すは一流」
政治家・後藤新平の言葉であり、あの野村克也さんの座右の銘としても有名である

その意味で和田まあやは間違えなく一流であった
アンダーライブを初期から作り上げ、メンバーの大半が入れ替わった今でもアンダーライブの熱さは全く失われていない
これはまあやがステージ上に舞台裏に3・4期生に、アンダーライブらしさを伝えていったからであろう

彼女の最後のライブは、ある意味いつも通りのアンダーライブだった
もちろんそれは凡庸なライブであったというわけではなく、いつも素晴らしいものを作り上げてきたという意味である
以下ではポイントを絞って振り返っていきたい

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
アンダー曲と懐かしの名曲で構成されていて、オタク心くすぐられるセットリストだとは思う
ただまあや最後のアンダーライブということを考慮すれば、オールアンダー曲構成でもありだったとすら思うのでそこまでマニアック路線に走ったなという印象はない

3.振り返りポイント

①アンダーライブのパフォーマンス

いつも通りといえばいつも通りなのだが、今回もアンダーライブらしい熱量マックスのパフォーマンスは見どころだった
(もちろんこれがいつも通りとなっていることがすごいのだが…)

中でも印象に残ったのは『日常』である
きいちゃんの代表曲でいまやすっかり全体ライブでも定番となった曲であるが、もともとはアンダー曲であった
今回は理々杏センターで披露されていたが、きいちゃんに負けずとも劣らないパフォーマンスができていたのではないか
今後は久保ちゃんセンターで披露されることが多そうなこの曲だが、アンダーはアンダー曲というプライドを持って披露し切磋琢磨してほしいとも思ったりした

②新4期生の躍動

今回のアンダーライブでは新4期の各面々がかなり仕上げてきたなと思った
前回まではやや硬さが残っていたが、スター誕生ライブ全国ツアーを経てかなり成長しているように思う

また前回シングルのアンダーから同じ4期の弓木・やんちゃんが選抜入りしたのも大きいだろう
目の前で仲間が選抜入りしたのならば、次は私もという気持ちが出てくるのは必然だろう

くろみんの鬼気迫る『音の出ないギター』のパフォーマンスは見どころの一つだった
BOØWYを参考にしようとしたというエピソードもさすがである笑

りかちゃんは前回までかっこいい系のダンスがあまり得意ではないのかなという印象だったが、今回はとにかく表情で殺せている
個人的には前回から一番成長したように見え、相当頑張ったんだろうなと伝わった

みゆちゃんも『狼に口笛を』でオオカミポーズをとるなど、ファンが求めていることを考えて実行しようというのがとても良かった
ブログ更新も熱心だし、努力が報われてほしいなと思う

そして林はスター誕生ライブの時から思ってはいたことだが、表現力が段違い
「この子が乃木坂選抜のセンターです」と言われても何ら不思議でないレベル
現実的に近いうちに実現するとしたらアンダーでだろうけど、次のシングルあたりで林センター見てみたい気がする

今が正念場と気合が入る4人の活躍にこれからも目が離せない

また余談だが、アンダー・選抜間の流動性が増すことでアンダーライブの性質は以前のものに戻っていくかもしれないなと思った
このあたりは以下前回のアンダーライブの記事に詳しく記載している
乃木坂46 29thSG アンダーライブDay3考察 2022/3/27

③和田まあやについて

もちろんまあやについてはさすがの一言であった
まずパフォーマンス的には『制服のマネキン』について触れたい
マネキンといえば生駒ちゃんの代名詞であり、誰がやっても生駒ちゃんほどの主人公感が出ないという感想になってしまいがちである
しかし今日のまあやは違った
アンダーを長年背負ってきた重みからくる圧倒的な主人公感で、生駒ちゃんにも引けを取らないパフォーマンスだった
『Under’s Love』もそうであったが技術はさることながら、魂で踊っている感じに心震えた

またスピーチも衝撃的であった
まさかあのとことん明るいまあやが、大病を患っていたとは…
(あとから調べると既出の話だったようだが、私は全く知らなかった)
そんなことみじんも感じさせず、底抜けに明るかったまあやは本当に尊敬に値する
そのスピーチの流れで『左胸の勇気』で「生きてればなんとかなる」なんて歌われたら泣いちゃうよ…

最後にまあやはほっておいても幸せになる星のもとに生まれている気がするが、それを超えるくらいの幸せが彼女のもとにありますように…
それくらい偉大な人だと思うんだ

④乃木坂っていいとこだな

今日のライブをみて改めて乃木坂っていいとこだなと思った

今の一期生年少組は若くして乃木坂に入り、乃木坂メンバーに囲まれてで育ってきている
それはまあやも例外でなく一期のお姉さんを見て育ってきたと言っている
ななみんに宿題を丁寧に教えてもらい、わからないときはまいやんに答えだけを教えてもらい(笑)、かずみんには100万円貸しても良いと思えるくらい人生で大切なものを教えてもらったとのことだ
そんな風に育ててもらう立場だったまあやがいつしか後輩を支えアンダーライブの魂を引き継ぎ、卒業時には後輩が号泣している…
こんなまっすぐで格好いいひとを育てた乃木坂というグループは改めていいグループだなと感じた

考察:乃木坂46 真夏の全国ツアー(全ツ)東京神宮球場公演Day3 2022/8/31

1.全体の感想

久々に卒業セレモニーがなかったこともあり、ただただ楽しい全ツ千秋楽であった
事前に予想された通り考察要素は少ないが、以下ではいつものようにポイントを絞って振り返っていきたい

また地方公演や神宮Day2と被るところはかなり多い
そのため良かったらそれらの記事もご参照ください
(他公演はチケット確保できず…)
考察:乃木坂46 真夏の全国ツアー(全ツ)広島公演Day1 2022/7/23
考察:乃木坂46 真夏の全国ツアー(全ツ)東京神宮球場公演Day2 2022/8/30

2.セットリスト

こちらのサイトをご参照ください
冒頭でも述べたが数年ぶりの平和で楽しい千秋楽だった

3.振り返りポイント

今回はDay2とかなりの部分で被るので、Day2の記事で考察した箇所は割愛しその他を振り返っていきたい

『好きというのはロックだぜ!』

タオルをぶん回すこの曲だが、本日はメンバーもタオルを持ってステージ上に登場した
そこで千秋楽不参加となってしまった、さぁちゃん、せいら、なおちゃんのタオルをそれぞれやんちゃん、まゆたん、まおちゃんが持っていた
よくある演出ではあるんだけど、やっぱりこういうのって誰も取り残さない感じがしていいね

②かっきーのスピーチ~なぜ賀喜遥香は乃木坂のセンターなのか

何と言っても本日の見どころは終盤のかっきーのスピーチであった
なお全文はこちらの記事で確認できる

私は今回のスピーチを聞いて、かっきーはやはり新生乃木坂のセンターに相応しいと思った
以下では「乃木坂らしさ」という言葉に焦点を当ててその考察の理由を述べていきたい

「乃木坂らしい」とはなんなのか?
私は「普通の女の子が仲間(メンバー・ファン含む)を得て強くなるストーリー」だと思っている
ではそのストーリーの主人公としては、どのようなメンバーがマッチするのだろう
やはり「儚さ」という言葉がよくつかわれるように、か弱くて守ってあげたり支えてあげたくなるようなメンバーが象徴となるだろう(最終的に獲得する「強さ」の対極のイメージ)

今までで言えば西野七瀬だし、これからは遠藤さくらが継いでいくものだと思っていた

その点かっきーはイケメンキャラだしかなり器用だし、優等生っぽくハキハキしゃべるしこの系統とはかなり違うように見えた
しかし優等生だって悩むときは悩むし、その弱さが垣間見えたとき人は支えたいと強く思うのだろう
そのかっきーのもつ魅力が最大限発揮され、支えたいと思わされたのが今回のスピーチだった

そういう意味で彼女はニュータイプではありつつも、誰からも支えたいと思わせる乃木坂らしい新スターなのだと実感した
彼女も主役の一人としてこれからの乃木坂の一ページを作っていってほしい

③樋口日奈・和田まあやについて

あまりにも卒業感がなさ過ぎて忘れかけてすらいたが、この二人にとっては最後の全国ツアーだった
そういった意味で最後一期生&かっきーが彼女たちを引き留めて、挨拶の場を設けてくれたのは嬉しかった

ただまさかこれで終わりじゃないよな…?
まあやが座長として引っ張るアンダーライブも見たいし、選抜・アンダー問わず支えてくれたひなちまがもう一度乃木坂の主役となるところも見たい
どうにかかなわないだろうか…

9/4追記:この時点ですでにひなちまの卒業セレモニーとまあや座長のアンダラ発表されてました。見逃していて恥ずかしい…